こんにちは、マニです。
不動産投資を始めるにあたって、気になるのは色々な手続き。

物件買ってみたはいいけど、何か手続きが必要?とりあえず確定申告しとけばいいだよね…
そんなあなたのために、不動産投資を本格的に始めるために必要な手続きを紹介します。不動産投資で収入を得ると確定申告が必要です。
そして、確定申告をするためには、個人事業主としての開業届を税務署に提出する必要があります。
今回は開業届について詳しく説明してきます。
開業届とは


個人事業主が事業の開始を税務署に知らせる届け出のことです。
事業を開始してから1カ月以内に届け出を出すことを原則としていますが、届け出していなくても罰則などはありません。開業届を提出していなくても、確定申告を行うと同様の扱いになるため届け出をしない人もいます。
確定申告をすれば同じ手続きを踏めるのになぜ、開業届を提出する必要があるんでしょうか。
開業届とは税務署に、申請書を「数枚」提出するだけの手続きです。なにも難しいことはありません。不動産投資を始めた人はぜひ、開業届を出して、その特典をゲットしましょう。
開業届は誰が必要?
開業届は本業とは別の収入が増えた人、全員が出す必要はありません。
- 事業所得
- 山林所得
- 不動産所得
を得た事業を開始するときに提出します。
いわゆる副業は雑所得に該当し、上記の所得には該当しません。開業届は不要です。
副業は20万円を超える場合に確定申告が必要ですが、開業届までは不要なんです。
青色申告で受け取れる6つの特典


特典があるのはうれしいけど、開業したばかりの時は忙しいしめんどくさい。わざわざ出すほどの特典なの??
わざわざ、出すほどの特典です!!
もう一度言います。
以下、特典を紹介していきます。
1 青色申告特別控除
確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。
白色申告とは
簡易な記帳で記録した帳簿を使って申告する方法です。
青色申告とは
複雑な記帳で記録した帳簿と各種レポートを使って申告する方法です。
その一つが青色申告特別控除です。
青色申告特別控除とは
複雑な帳簿と各種レポートを使って申告する代わりに、申告者の所得を特別に控除する制度です。
控除額は65万円。所得税+住民税=30%の人であれば、
65万円×30%=19.5万円
も税金が安くなります。開業届の申請書を数枚“わざわざ”提出するだけの価値はありますね。


青色申告には会計ソフトを導入しよう
青色申告にしたいけど、複雑な帳簿っていうのが面倒だな…
青色申告を受けるためには、複式簿記という複雑な記帳をする必要があります。素人がいきなり作るのは難しく、税理士に帳簿を依頼する人もいます。
税理士に頼むと、作業は楽ですが費用が高くつき、青色申告特別控除で税金を安くするメリットが薄れてしまいます。オススメは会計ソフトを導入することです。
費用も安く、素人でも複式簿記の知識なしで帳簿を作成することができます。


2 青色申告専従者給与
青色申告事業者は生計を同一にする親族を従業員として扱い給与を支払うことができます。
支払った給与はすべて経費となり、事業者の所得を下げることができます。白色申告にも専従者控除という制度がありますが、その控除額の上限が次のように決まっています。
- 配偶者86万円
- 配偶者以外50万円
青色申告の場合は実情にあわせて給与額を変更することができ、実態に合った金額であれば上限もないため自由に給与を支払く事ができます。
3 赤字の繰り越しが可能
個人事業主として開業届を提出すると、その年に出た赤字を3年間繰り越すことができます。
事業所得などで赤字が出た場合は、その他の所得と「損益通算」して相殺することになります。損益通算しても赤字が残る場合、開業届を提出していれば翌年以降3年間繰り越すことができます。
来年度の利益とさらに「損益通算」することで、翌年の所得を減らし税金を減らすことが可能です。
4 事業用の銀行口座、クレジットカードを作成できる
開業届を提出していれば事業用に個人とは別の銀行口座、クレジットカードを作成できます。
個人用とは別の口座・クレジットカードを作ることで収支の管理が簡単になります。また、開業届を提出することでビジネスカードの審査が通りやすくなったり、銀行で事業としての融資を受けやすくなったりします。
5 事業用の助成金、補助金を受けられる
開業届を提出して個人事業主として認められれば、国や地方自治体からの助成金、補助金が受けられるようになります。
- 創業・事業継承補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- IT導入補助金など
助成金や補助金を受けることで、開業初期の現金不足の対策をとることもできます。
6 小規模企業共済に加入できる
小規模企業共済とは、個人事業主の退職金制度のことです。
掛け金をすべて経費にできるため、税金対策として非常に優れています。掛け金も自由に変更でき、利益が大きく出る年に掛け金を増やすなどの方法をとることで所得を下げ、税金を計画的に抑えることができます。
開業届ってどうやって出すの?


開業届の提出はいたって簡単。
次の3ステップだけです。
最寄りの税務署の窓口で用紙を受け取るほか、国税庁のHPからもPDFをダウンロードできます。
開業届とともに、青色申告するための申請書と、親族に給料を支払うための申請書を提出します。
必要な書類はこの3枚だけです。
作成した書類を税務署の窓口に提出します。郵送でも可能です。
このとき開業届の控えを取っておくようにしましょう。ビジネスカードの作成や小規模企業共済加入時に必要になる場合があります。
提出時の注意事項
開業届を提出するにあたって注意したことが二つあります。いずれも提出期日についてです。
- 開業届は開業日から1カ月以内に提出する
- 青色申告承認申請書は開業日から2か月以内に提出する
開業届の1か月以内は「推奨期間」のため罰則などはありませんが、青色申告承認申請書は2か月以内に提出しなければ受理されません。
開業届を出すにあたって覚えておきたいこと


最後に、開業届を出すにあたってぜひとも覚えてきたいことを紹介します。
失業保険を受けられない可能性がある
会社を辞めてフリーランスとして活動する場合、サラリーマン時代に雇用保険に加入していれば退職後に失業保険を受けることができます。
しかし、開業届を提出して個人事業主と申請してしまうと失業保険の受給期間中であっても復職したものと判断され失業保険の受給がストップしてしまう可能性があります。
フリーランスとして開業届を提出する場合は、失業保険の受給期間を事前に確認してから申請するようにしましょう。
事業所得と認められない場合がある
不動産賃貸業として開業届を提出する場合、その所得の規模が「事業的規模」として認められない場合、不動産所得として認められない場合があります。
具体的には所有する不動産が5棟10室(戸建てで5棟以上、区分マンションなどで10室)以上なければ事業的規模と認められません。
そのため、区分マンション投資で不動産投資をしているサラリーマンは戸数が少ないと、事業ではなく副業として扱われてしまいます。
- 青色申告特別控除
- 青色申告専従者給与
- 赤字の繰り越し
- 小規模企業共済への加入
- 損益通算
上記のメリットを受けることができないので注意が必要です。
開業届提出前の支出は開業費になる
開業届を提出するまでの間に支払った費用は「開業費」という扱いの支出になります。
交通費や書籍代、パソコン費用や接待費などもすべて開業費になります。
このような費用は基本的には経費で支払った年に経費計上できますが、開業費の扱いとなると経費ではなくすべて資産として扱われます。資産となるとその年に経費計上するのではなく、5年かけて償却することになるので注意が必要です。
開業したばかりの時は売り上げも少なく経費を多く計上したくないときは、あえて開業費として翌年以降に経費計上するといった方法もあります。
まとめ
今回は、開業届について解説してきました。
- 開業届は提出しなくても罰則はない
- 開業届を提出して青色申告すれば特典を多くもらえる
- 開業届の申請は簡単
- 青色申告承認申請書の提出も忘れずに
開業届は誰でも簡単に提出できる申請です。
ぜひ、不動産を購入したらぜひ申請しましょう。