こんにちは、マニです。

不動産投資に、出口戦略って必要?
少しは気にしてるけど、なんとなくでやってる…
間違った方法だったら嫌なので、みんなどうしてるか聞きたい
こういった疑問に答えます。
今回の内容
- 不動産投資に出口戦略は必要です
- 出口戦略をとりやすい物件と、取りにくい物件を紹介
わたしは、地方に1棟アパートを所有している、サラリーマン大家です。
今回は、不動産投資の出口戦略の方法を、解説していきます。
私の物件を例にして解説しますので、初心者でも、理解しやすいと思います。
この記事で、出口戦略の方法をマスターして、失敗しない物件選びをしてください。
不動産投資に出口戦略は必要です

不動産投資初心者は、出口戦略まで考えている人が、あまりいません。
「せっかく購入するんだから、売るなんてもってのほか。一生持ち続けて、家賃収入を得るんだ」
その気持ち、よくわかります。わたしだって、そう。
家賃収入で、資産をコツコツ増やす方法は、不動産投資の大きなメリットです。
ですが、「ずっと持ち続けると決意すること」と、「出口戦略を立てること」とは、まったく別の話。
物件の購入を検討する場合は、必ず「売ること」をセットに考えるようにしましょう。
出口戦略は、なぜ必要?
ずばり、将来のことは、誰にもわからないからです。
あなたが、一生持ち続けると決意しても、将来のことは誰にもわかりません。
急に現金が必要になることもあるし、明後日には気が変わってるかもしれません。
そんなときに、出口戦略を立てていないと、かなり困ったことになります。
熱い気持ちは一旦置いて、冷静に出口戦略を立ててみましょう。
出口戦略の具体的な手順は、「1.いくらで売れるか→2.いつ売るか→3.そのときの利益はいくらか」です。
ステップ1:いくらで売れるか
数年後、あなたなら、いくらでその物件を買いますか?
「当然、買った値段と同じ値段で、また買う」
ほんとに、そうですか?
もっと安く買いたいたと、思ってませんか?
築年数が今より経っているんだから、より安い値段じゃないと、嫌だと思いませんか?
みんな、そう思ってますよ。
売るときは、買うとき以上に厳しく、金額設定する必要があります。
金額設定の方法は色々ありますが、最もわかりやすいのは、積算価格を参考にする方法です。
将来の積算価格を計算する
建物は経年劣化で、毎年、その価値が下がります。
耐用年数を過ぎると、ひとまず、価値がゼロになったと、考えてよいでしょう。
土地の価値は、市況により変動しますが、まずは、今の価値で考えて問題ないです。
例えば、
築13年の木造アパートは10年後に築23年となり、耐用年数が過ぎるので、価値がゼロになります。あとは、土地の価値のみ。
※木造の耐用年数は22年
土地値以下の物件、というのがありますが、これはすでに建物の価値が0円で、何年たっても物件(建物+土地)の価値が下がらないため、比較的売りやすいです。
建物が、耐用年数を超えている場合は、土地値を売却額と考えればよいです。
土地は、実勢価格でもよい
土地の値段は路線価を使う場合と、実際の取引額である、実勢価格を使う場合があります。
更地にして、土地として売る場合を考えるときは、実勢価格のほうが近くなります。
ネットで近隣の売り土地の相場を調べるか、不動産屋さんに聞けば、だいたいの数字が把握できます。
ステップ2:いつ売るのか
次は、「いつ売るのか」の検討です。
具体的に、いつ売るか決まっている場合は、その年でいいです。
そうでない場合は、10年、20年のスパンで、考えるのがいいと思います。
ステップ3:そのときの利益はいくらか
利益の検討方法は、次の通り。
- いくらで売れるか
- キャッシュフローは、いくらでているか
- ローンの残りはいくらか
(1) いくらで売れるか
ステップ1で検討した、金額です。
(2) キャッシュフローは、いくらでているか
収支シミュレーションを行い、キャッシュフローの累積を計算します。
具体的なキャッシュフローの計算方法は、不動産投資のキャッシュフローの計算方法【注意点もまとめました】をご覧ください。
(3) ローンの残りはいくらか
同じく、収支シミュレーションでローンの残債を計算します。
そのときの利益を計算
(1)(2)(3)の金額と、購入した物件費用から出口(売却時)の利益を計算します。
具体的に計算してみます。
私が、実際に購入した物件を参考に、具体的に計算してみます。
- 物件価格3600万円(建物1600万円、土地2000万円)
- 購入時の諸経費300万円
- 築13年-木造アパート
- 頭金10%、20年ローン、金利2.0%
- 満室家賃407万円、利回り11.3%
- 空室率10%、経費率20、家賃下落-年1%
- 2年後(築15年)、17年後(築30年)に200万円で大規模修繕実施
この物件で、購入から10年後に、売却することを考えてみます。
(1) いくらで売れるか
建物0円+土地2000万円=2000万円
築年数が23年になり、木造の耐用年数22年を過ぎたため、建物の価値は0円になりました。
(2) キャッシュフローは、いくらでているか
上の条件で、収支シミュレーションをすると、キャッシュフローは10年間で250万円残りました。
(3) ローンの残りはいくらか
10年後のローンの残りは、2200万円です。
以上を計算すると
(1)+(2)-(3)= 2000万円 + 250万円 – 2200万円 = 50万円
10年目の利益はプラスになりましたね。
この物件の場合、10年運営すれば失敗しない、ということが分かります。
ほかの年でも、計算してみる
結果はこちら。
5年目 | 10年目 | 15年目 | 20年目 | |
(1)いくらで売れるか | 2800万円 | 2000万円 | 2000万円 | 2000万円 |
(2)CFはいくらでているか | 50万円 | 250万円 | 210万円 | -250万円 |
(3)ローン残りはいくらか | 3000万円 | 2200万 | 1320万円 | 350万円 |
(1)+(2)-(3) | -150万円 | 50万円 | 890万円 | 1400万円 |
この結果から、何が見えてきますか。
- 10年以内に売却すると損をし、それ以降だと利益が出る
- 10年目以降は、建物の価値がゼロになるので、物件価値が下がらない
- 物件を持ち続けるほど、利益は増えていく
こんなところでしょうか。
ここを、もう少し深く考察すると。
建物の価値1600万円を回収すれば、あとは損をしない
とわかります。
ということは、出口戦略の考え方のひとつとして、建物の費用を回収するところが、損益分岐点の目安だと言えますね。
キャッシュフローがマイナス??
10年目以降は、キャッシュフローが下がっていっていますね。
「えっ?赤字なの??」
その通りです。毎年、キャッシュフローはマイナスです。
築13年の木造アパートは、耐用年数の22年を過ぎると、減価償却が切れます。
減価償却が切れると、経費がなくなり、所得税が増えます。
所得税が増えることで、キャッシュフローが悪化して、マイナスに転落するのです。
しかも、
10年目以降のキャッシュフローは、ローン返済が終わる20年目まで、ずっとマイナスです。
オーマイガットですね。
「赤字物件なんていらない。10年経ったら、さっさと手放そう」
出口戦略を検討しない人は、早々にこの物件を売っちゃうかもしれませんね。
毎年キャッシュフローがマイナスのため、一見すると、この物件は失敗です。
しかし、全体像をしっかりみると、最終的な利益はずっとプラスだ、ということがわかります。
この物件を、持てば持つほど、利益の額は大きくなります。
しっかりと投資家マインドを持たないと、見誤るポイントです。
目先の利益(キャッシュフロー)のみを、追いかけている人は、不動産投資では成功しません。
キャッシュフローがマイナスの間も、ローンの返済は進みます。
返済が進むと、借入元金が減ります。
実際は目に見えませんが、借入元金が減った分、着実に資産は増えています。
出口戦略の検討をすると、こういったことも、発見できます。
収支シミュレーションをすると、ほかにも本やブログには書いていないような、不動産投資のおもしろさが、いくつも見つけることができます。
この物件の、出口戦略の検討の結論としては、
初めの10年を何がなんでも、乗り切れば、あとは損をしない
よって、この物件はGO!!!!でした。
20年後はどうなる?
ちなみに、この物件、ローンを完済した20年目以降は毎年200万円以上の収入を、生み出してくれます。
しかも、まだ築33年。この物件の美味しさ、伝わりますか?
補足:建物価値の考え方
10年目に、建物の価値を0円に設定するのは、実はかなり乱暴です。
築23年の木造アパートは、満室運営さえできていれば、実際は相場並みに売却することが可能です。
10年後の想定家賃が370万円(10年で10%下落)だったとして、利回り12%で売りに出してみます。
370万円÷12%=3000万円
類似物件の利回り相場は、今の市況だと10%前後です。
それより少し高い設定にすれば、十分、買い手は見つかると思います。
利回りの計算方法について知りたい方は、【簡単】不動産投資の利回りについて解説もご覧ください。
売却価格を2000万円とするのは、結構きつい設定です。
ですが、出口戦略を検討するときは、それぐらい、きつい設定のほうが安全です。
それでも大丈夫と、判断できればあとは、GO!!!!ですね。
出口戦略まとめ
出口戦略を考える場合、いつ、いくらで売れば、損をしないか検討しましょう。
はじめのうちは、ずっと赤字(損をしている)です。
赤字の期間が短ければ、短いほど安全です。
自分の気持ちが変わったときも、すぐに売却して損せずに出口がとれますから。
これが、20年以上かけないと、プラスにならないような物件は、リスクが大きすぎます。
その間に、なにかあった場合、結局損して終わることになります。
出口戦略の検討方法、わかりましたか?
出口戦略をとりやすい物件と、取りにくい物件を紹介

最後に、出口戦略をとりやすい物件と、取りにくい物件の特徴を、簡単に紹介します。
あなたが買いやすい物件は、ほかの誰かも買いやすいです。
この視点が重要。
出口戦略がとりやすい物件の特徴
- 築年数が浅い、積算価格が高い
- 物件価格が安い(2000万円以下)
- 戸建て、区分マンション
- 立地がよい
1. 築年数が浅い、積算価格が高い
銀行の融資が付きやすいため、購入できる投資家の絶対数が多くなります。
ここ一番大事。
買える人が多いというのが、出口戦略では最も重要です。
投資家の数が多いと、売れ残って、安値で叩かれることもありません。
投資家の数が、多ければ多いほど、流動性が高くなり、出口戦略を取りやすいです。
2. 物件価格が安い(2000万円以下)
現金買いできる、ぎりぎりのラインです。
現金買いができると、融資を引く必要がないため1.の条件が悪くても、利回りさえよければ、誰かが買ってくれます。
3. 戸建て、区分マンション
戸建て、区分マンションは、投資家だけでなく、自宅として購入する人も対象になるため、検討する人の絶対数が多くなります。
一つ注意点としては、築古の区分ワンルームは投資用にも、自宅用にもちょっと微妙なので、あまり売れないです。
4. 立地がよい
単純に人気があります。
特に住宅街の小規模アパートは、建物を解体して宅地として売ると、3.と同じ理由で検討する人が増えます。
角地で敷地が道路に2面、面していたりすると、さらに高い値段で、売ることもできます。
出口戦略がとりにくい物件の特徴
- 上の条件の逆の物件
- 大型RCマンション
- 違法建築物件
1. 上の条件の逆の物件
出口戦略の取りやすい物件の逆をいくものは、すべて売りにくいです。
理由は省略。
2. 大型RCマンション
金額が高すぎて、そもそも買える投資家が少ないです。
また、大型RCマンションは、解体費用が莫大にかかるため、出口戦略として考えた場合、特に築古は敬遠されます。
小規模のアパートと比べて、物件価格に対する土地の割合が少ないため、土地値が出ずらいというのもデメリットです。
3. 違法建築物件
建物が古く、現在の法律に合致していない物件のことです。
銀行は、違法建築物件には、基本的には融資をしません。
融資を受けれないと、投資家の絶対数が少なくなります。
以上、出口戦略をとりやすい物件、とりにくい物件を簡単に紹介しました。
出口戦略は必ず検討しよう
出口戦略の検討方法と、その重要性が理解できたでしょうか。
物件の購入を検討するときは、必ず「売るとき」のことをセットで考えましょう。
将来のことは、誰にもわかりません。
検討不足で、困ったことにならないように、しっかりと出口戦略を検討しておきましょう。