こんにちはマニです。
サラリーマンをしながら地方でアパートを一棟所有しています。
本業は建築現場の現場監督です。
仕事柄、下請さんから見積もりをもらったり、お客さんに見積もりを提出したり、普通の人より見積もりに触れる機会が多いです。
建設業界では見積もりは立派な成果品です。
第2回目の今回は、見積もりの基本中の基本、「相見積もり」について紹介します。
勘違いしている人が多いと思いますが、相見積もりは値下げ交渉の手段ではありません。
『結論:相見積もりは最適なパートナーを見つけることが目的』
いまいちピンときませんか??順に解説していきましょう。
建築業界の見積もりについて、少しでも理解が深まってもらえればうれしいです。
ケーススタディー①:旅行の宿泊先を決める

相見積もりについて、旅行の宿泊先を決めるときを例にして考えてみましょう。
あなたは週末の家族旅行を計画しています。
旅の一番の楽しみは、ホテルや旅館など旅先での宿泊場所やそこで受けるサービスですよね。
リゾートホテルで家族みんなでわいわい楽しむもよし、温泉旅館でゆっくりした時間を過ごすのもよし。
その時の気分によって求めるものも変わってきますね。
どうもあなたの希望は「温泉旅館で家族みんなでゆっくり過ごしたい!!」ということみたいです。

そんなに贅沢はできないけど、家族みんなで一緒に温泉に入りたい。食事も部屋の中でゆっくり食べたいな。
第1回目の講座紹介した「食べたいものを決めてから、お店を決めましょう」というポイントは、しっかり押さえらていますね。
関連記事:現場監督が教える見積講座①|食べたいものは自分で決める
相見積もりを取ってみる
さあ、今回も張り切って相見積もりを取ってみましょう。
宿泊先の相見積もりは『楽天トラベル』や、『じゃらん』などから簡単にとることができます。
日程やエリア、宿泊施設の種類や予算のほか、あなたの希望に合った細かい条件まで指定して検索することができます。
すでに「食べたいものが決まっている」あなたは、その条件を絞っていくことで希望に合った宿泊先を絞り込むことができます。
最終的にあなたの目に留まった宿泊先は次の三つです。
- A旅館 「30,000円」家族風呂1時間付、朝夕食-部屋
- B旅館 「40,000円」露天風呂付部屋、朝夕食-部屋
- C旅館 「25,000円」家族風呂1時間付、朝食-レストラン、夕食-部屋
「A旅館」は家族風呂もついていて、朝夕どちらも部屋食なので、条件にぴったり合っています。
「B旅館」は部屋に露天風呂がついていて、時間を気にせずいつでも温泉を楽しむことができます。価格は一番高いですが、サービスはとても魅力的。
「C旅館」は朝食だけはレストランでとらなければなりませんが、家族風呂もあり夕食は部屋食。価格が最も安く、コスパは一番いいかもしれません。
サービスにもそれぞれが特徴ある
それぞれの旅館は金額やプランだけでなく、提供するサービスにもその旅館ならではの特徴がありました。
「A旅館」は昔ながらの老舗旅館で建物に古さはありますが、趣があり歴史を感じるただすまいです。熟練の仲居さんたちによる温かい接客が売りのようです。
「B旅館」は高級感とプライべート感の高いオープンしたばかりの新しい旅館です。客室数もわずか10室しかなく、専用ラウンジなど決め細やかなサービスが売りです。
「C旅館」は施設が充実した大型旅館です。大浴場も広く、館内にはゲームコーナーやカラオケ施設など家族で楽しめる施設がそろっています。コストを抑え低価格を実現しているのが売りです。
希望の条件をはっきり決めて相見積もりを取ったのに、それぞれのサービスまでしっかり調べてみたらこんなにも違いがあることが分かりました。



さあ、最後にどこの旅館にするか決めるのはあなたの番です。
どの旅館が一番魅力的でしたか??
ケーススタディー②:家電量販店で冷蔵庫を買う


ケーススタディーの二つ目は、家電量販店で冷蔵庫を購入するときのことを考えてみましょう。
そろそろ新しい冷蔵庫が欲しくなってきた、あなた。
ネットでしっかり下調べを行い、どこのメーカーのなんていう商品を買うのかというところまで決めることができました。
相見積もりが大切だと思い、さっそく近所の家電量販店に見積もりをもらいに行きました。
- A店 162,000円
- B店 169,000円
- C店 158,000円
A店、B店が出してくれた見積もりをもってC店に行き、価格交渉の結果158,000円まで値引きしてもらうことができました。



やっぱり相見積もりって大事だな、やっといてよかった。
とってもご満悦なあなた。



相見積もりのおかげで安く買えましたね。
やっぱり相見積もりは大切です。
2つのケースから相見積もりについて考える


「①宿泊先の予約」と、「②冷蔵庫の購入」について2つのケースを紹介しました。
同じ相見積もりを行った二つケース。どこが違うと思いますか??
それは「商品やサービスの仕様や品質が違う」ということです。
「①宿泊先の予約」の場合、それぞれの旅館で得られるサービスの質や内容は異なります。
「料理」や「部屋」、「施設の充実度」や「スタッフの対応」などは旅館によって様々です。金額やサービスを含めたトータルで判断することになります。
いっぽう「②冷蔵庫の購入」の場合は、どこのお店でも買う商品の品質は変わりません。
購入の判断は金額のみで、とにかく安いところから購入することになります。
二つの違いを意識して相見積もりをとる
相見積もりを取るときは、この二つの違いをしっかりと意識して行いましょう。
- 買う場所によって受けられるサービスや商品の質が違う
- どこから買っても同じ品質、同じ商品
相見積もりは、このいずれかの商品を購入するときに行います。
「①宿泊先の予約」の買い物のときに、「②冷蔵庫の購入」のような意識で安さのみで店を決めると「料理がおいしくなかった」とか、「家族風呂があると聞いてたのに狭くて全然くつろげなかった」とか、「サービスが悪くて気分が悪かった」なんていうことになりかねません。
「自分が受けたいサービスを提供してくれる会社を探す作業」と「同じ商品を少しでも安く売ってくれる会社を探す作業」には明確な違いがあります。
多くの人は相見積もりは「同じ商品を少しでも安く売ってくれる会社を探す作業」だと思っていますが、実はほとんどの場合「自分が受けたいサービスを提供してくれる会社を探す作業」だったりします。
リフォーム工事で相見積もりを考えてみる


最後に、リフォーム工事をする時の相見積もりについて考えてみましょう。
この時の目的は当然、「自分が受けたいサービスを提供してくれる会社を探す作業」です。
会社によって得意なことも違いますし、受けられるサービスや品質もさまざまです。
相見積もりの目的が「同じ商品を少しでも安く売ってくれる会社を探す作業」だと思っていると、受けたいと思っていたサービスの品質が確保できません。
リフォーム工事を依頼するときの相見積もりは「自分が受けたいサービスを提供してくれる会社を探す」のが目的です。
優秀なパートナーを見つけることができれば、限られた予算の中であなたの思いを最も叶えてくれる提案をしてくれるかもしれません。
リフォーム工事で相見積もりをするときは、安い業者を探すことを一番の目的にしてはいけません。
まずは自分が受けたいサービスを提供してくれる会社、その中で価格交渉が可能であれば安く仕上げてもらう。
これこそが建築工事の相見積もりの本当の目的です。
間違っても、安さだけを基準にリフォーム会社を決めないように注意しましょう。
まとめ
今回は「相見積もり」の目的について紹介しました。
『結論:相見積もりは最適なパートナーを見つけることが目的』
安さを求める相見積もりは、建築工事には向いていません。
なぜなら中身を安く(品質を落とす)すれば、いくらでも見積もりを安くすることが可能だからです。
安さだけを求めていては、本来あなたが受けたかったサービスは一切受けられるず、「悪徳業者だ!」「品質不良だ!」と嘆くことになってしまいます。
もしかしたら、依頼された会社も「その金額なら、この品質しかできないのが当然でしょ!!」
と思っているかもしれません。
相見積もりの目的をしっかり認識して、優秀なパートナーを見つけるようにしましょう。