こんにちはマニです。
サラリーマンをしながら、地方でアパートを一棟所有しています。
本業は建築現場の現場監督です。
仕事柄、下請さんから見積もりをもらったり、お客さんに見積もりを提出したり、普通の人より見積もりに触れる機会が多いです。
建設業界では見積もりも立派な成果品です。
意外なことかもしれませんが、見積を作るにも知識や経験が必要です。
「100円のジュースが5本で500円です。」
そんな簡単な作業ではないんです。
建築工事の見積もりはとても、とても奥が深い。深すぎて真っ暗だったりもします。
これから数回に分け建築工事の見積もりについて、初心者でもわかりやすいように紹介していきます。
建築工事の見積もりの奥深さと面白さ(?)が少しでも多くの人に伝わればうれしいです。
食べたいものは自分で決めよう
そもそも見積徴収って、いったいぜんたい何をやっているんでしょうか。
第1回目の今回は、「見積を徴収するうえで依頼者が心がける最も大切なこと」をお伝えします。
『結論:食べたいものを決めてから、お店を決めましょう』
工事を依頼するときに、この視点が抜けている人がとても多いです。
食べたいものってどういうこと??
さっそく紹介していきます。
ケーススタディ:お昼ご飯の見積もりを取ってみる
お昼ご飯のお店を探すときのことから見積もりに大事な視点を考えてみましょう。
お昼になりお腹が空いてきたあなたは、どこかでお昼ご飯を食べようと考えました。
目の前には4件のお店。
やっぱり相見積もりが大事だよね
と、いき込み、さっそく4件のお店に見積もりをお願いしました。
出てきた見積もりがこちら。
- A店 5,000円
- B店 1,000円
- C店 500円
- D店 200円
見事に金額がばらけました。
お昼ご飯って、だいたい1000円(B店)ぐらいだよね
と思っていたあなた。
5,000円(A店)!!なんじゃこのぼったくりのお店は。
と思ったり、
500円(C店)か、、思ってたより安くですませそうだ。いい店を見つけたぞ。
と思ったり、
200円(D店)って、なんか怪しい…。けど一番安いからここでもいいかな。
と思ったり。
安いお店も見つかって、あなたはすっかりご満悦です。
提供するサービスは店によってさまざま
では、それぞれのお店から出てきた見積もりの中身はいったい、どんなものだったんでしょうか。
- A店 高級フレンチのランチコース
- B店 和食屋の刺身定食
- C店 弁当屋のから揚げ弁当
- D店 駄菓子屋の駄菓子詰合せ
それぞれのお店は「おなかが空いた」の要望に応えるために、自分たちのお店でできる精一杯のサービスの見積もりを提出してくれました。
それなのに、肝心のあなたの反応は。
- A店 「平日の昼間っからフレンチなんか食べるわけないだろ」
- B店 「俺は魚じゃなくて、肉が食べたいんだ」
- C店 「弁当って気分じゃないよ。やっぱりお店でゆっくり食べないと」
- D店 「駄菓子!!そんなの昼ご飯にならないだろ」
まったく…。
どいつもこいつも、全然わかってない。まともなお店は一軒もないのか。
大変ご立腹です。
どうですか、この状況。これ、いったい誰が悪いんでしょう。
見積トラブルは客の無関心が原因
このような不平や不満が起こる原因は、実はお店側にはほとんどありません。
「何を食べたいのか自分でもわかっていない」ことが一番の原因です。
- 予算は1000円
- 肉料理
- 店内でゆっくりしたい
こんな条件を決めていれば、高級フレンチや弁当屋、駄菓子屋に見積もりを要求することはなかったでしょう。
「ここの店はぼったくりだ」だの、「テイクアウトなんかいらない」だの、「駄菓子なんかご飯にならない」だの、怒る必要もありません。
さらに一番迷惑しているのはお店のほう。
それなら初めから、ほかのお店に行ってくれよ。
見積もり徴収で最も大事なこと、少しは見えてきましたか?
お腹が空いたなら、食べたいものを決めてからお店を決めましょう。
そういうことです。
リフォーム工事で考えてみる
同じことを部屋のリフォームで考えてみましょう。
アパートを所有するあなたは、空室対策のために部屋をリフォームすることにしました。
空室対策でリフォームをしたいです。見積もりを提出してください。
さっそく、複数社から見積もりを取ってみました。すると各社から、
- 間取りは変更しますか?
- 設備は更新しますか?
- 和室は洋室にしますか?
などなど、色々な質問が飛んできます。そんなものにはちっとも興味がないあなた。
そんなこと聞かれてもよくわかりません。そちらで考えて提案してください。
そう答えました。そして、各社からはこんな見積が出てきました。
- A社 250万円
- B社 50万円
- C社 10万円
見積もりを受けたったあなたは、またしても、こう叫びます。
- A社 「250万円!こんなものぼったくりだ。」
- C社 「10万円??こんなんでリフォームできるわけないだろう。」
そして、各社の見積もりの内容はこんなものでした。
- A社 ユニットバス・トイレ・キッチンの更新、和室を洋室に変更
- B社 壁紙を全面張替、畳の張替え
- C社 壁紙の上からペンキの塗り替え
よくよく聞いてみると、どこも同じ工事会社だと思っていましたが、それぞれ専門分野も違っていました。
- A社 総合リフォーム会社
- B社 内装会社
- C社 塗装会社
得意とする業務の内容も、提案できる工事の内容も全然違います。
部屋全体をトータルに考えて、設備の更新や間取りの変更を提案してくれた『A社』。
内装を中心に壁紙や畳の張替えを提案してくれた『B社』。
得意分野を生かして壁紙をきれいに塗装しなおすことを提案してくれた『C社』。
どこの会社もあなたの希望に合うように自分たちの会社ができる最大限の提案をしてきています。
しかし、あなたはあいかわらず「フルリノベーションなんか誰も頼んでない」だの、「畳は古臭いからフローリングに変えたいんだ」だの、「壁紙の上から塗装するだけなんてリフォームなんて言わない」だの、大変ご立腹です。
見積もり徴収で大事なこと、もうお分かりですね。
リフォームを依頼したいなら、やりたいことを決めてから会社を探しましょう。
ということです。
リフォームの知識なんか素人の自分には全然ないんだから、やりたいことなんかわかるわけないじゃないか。
まあそれも一理あります。ここら辺はまた次回、ご紹介します。
まとめ
今回は、建設工事の見積について最も大事なことを紹介しました。
物を買ったり、サービスを受けるために最も大切な視点です。
自分は何を欲していて、何がしてほしいのか。
そこを整理していないのに、見積もりを取ってしまうとてんでバラバラな見積もりが出てくるのは仕方がありません。
食べたいものを決めてからお店を決めましょう
- 俺は麺類が食べたい
- 麺類でもやっぱりラーメンがいいかな
- ラーメンといっても味はとんこつだ
- 長浜でなく、やっぱりドとんこつの久留米だ!!
ここまで決めればもう大丈夫。
あとは口コミのいいお店を2、3件探せばまず失敗しないでしょう。
何を食べたいのか、見積もり徴収する前にしっかり整理しておきましょう。