こんにちは、マニです。
大規模修繕を計画しています。金額も大きいし、悪徳業者もいると聞きます。なにか気を付けることってありますか。
不動産投資をしていると、一度は経験する大規模修繕の外壁塗装。
金額が大きいだけに悪徳業者につかまると大きな損失を出していまいます。
費用が高かっただけならまだしもですが、品質も悪ければもはや目も当てられません。
今回は大規模修繕工事に失敗しないために、その基本や注意点を紹介します。
大規模修繕工事とは
外壁や屋根は一年中、雨風や太陽の日射にさらされています。
劣化すると雨漏りなどの原因になり、雨水の浸入で柱や梁が腐食すると建物そのものの劣化にもつながります。
定期的な外壁塗装は建物を長く安心して利用するためにはとても重要です。
大規模修繕工事の内訳
ポイントを理解するために大規模修繕工事の全体像を理解しておくとが必要です。
まず初めに大規模修繕工事の全体像を理解するために、工事費用の内訳を紹介します。
- 材料代『20%』
- 人件費『30%』
- 足場代『20%』
- 経費『30%』
1. 材料代『20%』
材料代には次の様なものがあります。
- 高圧洗浄
- シーリング材
- 塗料
- 養生材
- 飛散防止ネット
外壁塗装に必要な工事の材料です。
この中でも「塗料」が材料代のほとんどを占め、材料代の50~80%にもなります。
2. 人件費『30%』
職人さんに支払う給料です。
外壁塗装には塗装屋、シール屋などの職人が作業を行います。
同じ会社で塗装作業とシール作業ができる職人を抱えているところもあれば、シーリング工事は別の会社にお願いする会社もあります。
大規模修繕工事の中では最も大きいウエイトを占めています。
3. 足場代『20%』
外壁塗装をするには足場が必要になります。
足場の組立は塗装屋とは別の専門の会社が行います。
『足場代』には足場材、足場組立・解体作業の人件費が含まれます。
4. 経費『30%』
大規模修繕工事の『経費』には次のようなものがあります。
- 交通費
- 産廃処分費
- 管理費
- 会社利益
「産廃処分費」とは工事中に出るゴミの処理費用のことです。
大規模修繕工事には材料や職人の手配、近隣への説明、工程管理などの「管理費」が必要で、それ以外に「会社利益」もこの経費に含まれています。
大規模修繕工事会社の種類
大規模修繕工事を行う会社は、大きく3種類に分かれます。
- 大手ハウスメーカー
- リフォーム会社
- 塗装会社
1. 大手ハウスメーカー
ハウスメーカーでアパートを建設した人は、完成後のメンテナンスも同じ会社に依頼することが多いと思います。
反面、サービスが充実しているために工事費用が高くなるというデメリットもあります。
コストより安心感を重視している人は大手ハウスメーカーが向いていると言えます。
2. リフォーム会社
リフォームを専門に行っている会社です。
外壁塗装だけでなく水回りや内装の更新など、建物に関するリフォームを全般的に扱っているところがほとんどです。
費用は大手ハウスメーカーよりは安いですが、比較的に対応が充実しているため工事費は高くなりがちです。
3. 塗装会社
塗装工事をメインにしている会社です。
一部に悪徳業者が存在するのも事実で、安さだけで塗装会社を選んでしまうと失敗してしまう恐れがあります。
3社の関係性から大規模修繕工事を理解しよう
コストだけを見ると大手ハウスメーカーが最も高く、塗装会社が最も安く抑えることができます。
これは工事の発注形態によるところが大きいです。
- 「大手ハウスメーカー」は「リフォーム会社」に工事を依頼します
- 「リフォーム会社」は、今度は「塗装会社」に工事を依頼します
結局とのところ大手ハウスメーカーに依頼しても、リフォーム会社に依頼しても実際の作業は塗装会社が行うことになります。
このような関係性のため塗装会社の費用が最も安く、大手ハウスメーカーが最も高くなってしまいます。
じゃあ塗装会社に依頼すればよい??
安くするために塗装会社に直接依頼すればよいかというと、実はそんなに単純なものでもありません。
悪徳業者とまではいかなくても、品質的に問題のある会社も存在します。
素人である大家さんがそのような業者を比較検討して、いい会社を探すのはなかなか大変です。
「リフォーム会社」に依頼すれば、悪徳業者やレベルの低い業者をふるいを掛けてくれます。
「大手ハウスメーカー」に依頼すれば、品質の保証や担当者の手厚いフォローもしてくれます。
リフォーム会社、大手ハウスメーカーのコストが高くなるのは、品質の確保とサービスへの対価です。
大規模修繕工事の塗料について
大規模修繕で行う外壁塗装は使う塗料がグレードによって種類が分かれます。
グレードが高いものは価格は高いですが、耐久性があり長持ちします。
塗料の種類
外壁塗装に使う代表的な塗料をいくつか紹介します。
- アクリル
- シリコン
- ラジカル
- フッ素樹脂
アクリル
外壁塗装を行う塗料の中で、最も安価な塗料です。
価格が安い分、耐久性も短く3~8年で塗り替えが必要で外壁の塗装にはほとんど使われていません。
工事費用は1m2あたり1000円~1800円程度です。
シリコン
耐久性とコストのバランスが非常に良く、最も普及している塗料です。
塗り替えに必要な期間は7~15年で、シリコンを使用すれば10年近く外壁塗装をしなくてもよいことになります。
工事費用は1m2あたり2300円~3500円程度です。
フッ素樹脂
耐久性に加え耐熱性、耐寒性にも優れる高級塗料です。
酸性雨や紫外線にも強く、汚れをはじく性質もあるなど性能が充実しています。
塗りかえ期間は12~20年と長いですが、その分費用が高くなります。
工事費用は1m2あたり3500円~5000円程度です。
ラジカル
フッ素樹脂並みの耐久性とシリコン並みのコストで、近年注目されている次世代塗料です。
12~15年で塗りかえる必要があります。
工事費用は1m2あたり2500円~3500円程度です。
アクリル | シリコン | フッ素 | ラジカル | |
---|---|---|---|---|
耐久性 | 3~8年 | 7~15年 | 12~20年 | 12~15年 |
工事費用(m2) | 1000円~1800円 | 2300円~3500円 | 3500円~5000円 | 2500円~3500円 |
塗料の選び方
塗料にはいくつかの種類がありますが、どのような基準で選べばよいのでしょう。
大規模修繕工事の内訳をみてみましょう。
- 材料代『20%』
- 人件費『30%』
- 足場代『20%』
- 経費『30%』
選ぶ塗料によってはこの『材料代』が変ってきますが、人件費などほかの費用はほとんど変わりません。
『材料代』のうち、塗料が占める割合は50~80%程度です。
塗料によっては塗り替えの期間が2倍になるものもあります。
こらからの使用期間で判断すればよい
塗料のグレードをケチると塗り替え期間が短くなります。
外壁塗装をするたびに人件費や足場代、経費がかかり結局はコストが多くかかってしまいます。
フッ素樹脂は長期的にはメリットはありますが、それでもやはり工事費は高くつくので予算に限りがある人は選ぶのは難しいでしょう。
売却時の査定額をあげるための外壁塗装であればあれば、長い耐久性は不要でアクリルでも問題ないかもしれません。
大規模修繕工事の見積の見方
大規模修繕工事は金額がとても大きくなります。
見積もりを依頼した場合は、全体の工事費をなんとなく眺めるだけでなく、中身までしっかり確認するようにしましょう。
見積もりをしっかり確認することで、「いい会社」「悪い会社」かのふるいを掛けることも可能です。
見積の作成手順
大規模修繕工事の見積もりを理解する前に、塗装会社がどのような手順で見積もりを作成するのか簡単に紹介します。
図面や現地の実測から、塗装する外壁の面積を計算します。
このとき窓や扉のある部分は塗装が不要なので面積からは除外します。
シーリングとは外壁と外壁との隙間や、扉や窓と外壁の隙間をうめる処理のことを言います。
この隙間のことを目地といい、シーリング数量は目地の長さを計算して算出します。
外壁の目地の箇所数や扉や窓などの外周長から数量を計算します。
足場が必要な面積はおおむね外壁塗装の面積と合致します。
違う点は窓や扉の面積を除かなくてよいことと、建物の外周より一回り大きく足場が必要なため、面積が大きくなることです。
外壁面積と同様に図面や現地の実測より面積を算出します。
使用する塗料の種類、メーカー、商品から塗料の必要数量を計算します。
商品によって使用できる数量が定められていて、その商品にあった数量を外壁面積から計算します。
外壁塗装では、通常、「下塗り」「中塗り」「上塗り」と3回の工程で塗装を行います。
雨どいの破損や鉄部の錆などがあれば、外壁塗装工事の中で補修します。
その他の必要な工事は現地調査をどれだけしっかり行えれているかで変わってきます。
高速道路を利用する場合や、コインパーキングを利用する場合などは交通費や駐車場代が必要です。
場合によっては宿泊費用が必要なときもあります。
使用する塗料やシーリング材、養生材の量から産廃処理費を計算します。
管理費や会社利益は以上の工事費に一律数%を掛けて算出することが多いです。
次にこのようなステップを踏んで作成した見積もりを、どこをチェックすべきかを紹介します。
① 塗装面積、足場面積を確認する
塗装面積や足場面積は自分でも計算することができます。
見積もりに計上されている面積と大きく乖離がある場合は、しっかりと見積もりできていないない可能性が高いです。
見積もり時点でこのような対応では、実際の工事の品質も怪しいものです。
悪徳業者になると、わざと数量を多くしている可能性もあります。
また、塗装面積や足場面積が『m2』表記でなく、『一式』表記の会社もあります。
このような会社はまともに現地調査や実測もせず、適当に見積もりを作っている可能性が高いです。
② 塗料の種類、商品名を確認する
塗料の種類でも紹介したように、使用する塗料によって品質やコストが大きく変わります。
二つ目には塗料の種類、商品名がしっかりと記載されているか確認しましょう。
塗料の商品名が分かれば、外壁面積に対して適正な塗料の数量が計上されているか確認できます。
塗料の数量が極端に少ないときは、品質に問題がある会社の可能性があります。
さっさと候補から外しましょう。
③ その他の工事を確認する
現地調査の結果、雨どいや手すりの破損がある場合はその金額が計上されていると思います。
この場合もしっかり内訳があるか確認します。
この項目が『一式』と書かれている場合は外壁面積や足場面積のように「=悪徳業者」とまではいきませんが、その内容はしっかりヒアリングしましょう。
質問にきちんと答えられない会社は避けたほうが良いでしょう。
④ 経費を確認する
経費は品質に関わる内容ではないので『一式』表記あること自体は問題はありません。
過去の実績から一律で30%として計上している会社もあります。
見積作成の手間を省くための方法でもあるので、あまり厳しく追及する必要もないでしょう。
駐車場代や交通費などは経費に含まれていなかったとして、追加請求されないように事前の確認は必要です。
大規模修繕工事のいい会社の特徴
次に大規模修繕工事のいい会社の特徴をいくつか紹介します。
工事への説明に誠意がある
職人集団で口下手な会社などは親切丁寧な説明が苦手なところもあります。
説明がぎこちなかったとしても、しっかり説明してくれるところはいい会社の特徴です。
塗料の種類やその耐久性、工事の方法や品質確保の方法など。
逆に何の説明もない、説明を求めてもしてくれないような会社は悪い会社の可能性が高いです。
見積内容が明確である
いい会社の見積はとても見やすくできています。
いい会社の見積もりはその明細を見ながら工事の説明までひとつひとつ丁寧に行うことができます。
見積もりが不明確な業者はそもそも建物を見ていないので、説明もあやふやでこちらの質問にも的確に答えてくれません。
補償内容が充実している
正しい材料、正しい工法で工事をすると雨漏りや塗装の剥がれなどをしっかりおさえることができます。
中には長年の実績が使用する塗料のメーカーにも認められ、メーカー保証まで付けられるところもあります。
欠点もしっかり話してくれる
どんな工事にも欠点や弱点があります。
選んだ塗料のいい面ばかりでなく悪い面や、工事全体として気になる点などデメリットもしっかり話してくれるところはいい会社の特徴です。
大規模修繕工事の悪い会社の特徴
いい会社の特徴を紹介したところで、今度は悪い会社の特徴も紹介します。
不安をあおって営業する
このままでは雨漏りが発生します
塗装が剥げてすぐに劣化してしまいますよ
など、不安をあおって営業する会社は悪い会社の特徴です。
現地調査をしない
大規模修繕工事は現地調査は必須です。
建物ごとに必要な補修方法は違いますし、必要な工事の費用も現地を確認しなければしっかりと計算できません。
電話口での簡単なヒアリングだけで見積もりを作るようなところは、悪い会社の特徴です。
現地調査はどんなに早くても1時間はかかります。
調査にきて10分ぐらいささっと見て終わりという会社もまともな見積もりができるとは思えません。
大幅な値下げをするところ
悪い会社の中には威勢のいい営業トークを繰り広げるところもあります。
うちに決めてくれたら20%引きにします!
足場代をタダにします
なかには、
今すぐ契約してくれたら50%引きにします!!
なんていうところもあります。
もともとの見積もりがでたらめで、高い金額を吹っかけてきています。
こういった会社は検討の余地なしです。
時間の無駄なのでさっさとお断りしましょう。
大規模修繕工事を成功させるためのポイント
最後に大規模修繕工事を成功させるためのポイントを紹介します。
- 複数社から見積もり徴収をする
- わからないことは積極的に質問する
- 無理な値下げ交渉はしない
- 制度を上手に利用する
1. 複数社から見積もり徴収をする
大規模修繕工事は複数社から見積もりを取りましょう。
相見積もりを勘違いされている方も多いですが、相見積もりの目的は価格競争で金額を下げることではありません。
相見積もりでふるいをかける
世の中にはいい会社もあれば、悪い会社もあります。
悪い会社は悪徳業者だけではなく、品質的に問題がある会社もあります。
相見積もりはそのような会社をふるいにかけて「いい会社」を探すことが目的です。
見積もりを多くとれば、いい会社に当たる確率は増えます。
2. わからないことは積極的に質問する
初めての人にとって、大規模修繕工事はわからないことだらけです。
数万円の買い物ならいざしらず、百万円以上もする高額な買い物です。
業者選びに失敗すると大きな損失も出てしまいます。
いい会社は質問されることにまったく嫌悪感を示しません。
むしろ自分たちが誇りにしている仕事に関心を示してくれたと、誠意をもって答えてくれます。
逆に質問に答えてくれない会社とは付き合う必要はありません。
3. 無理な値下げ交渉はしない
相見積もりの目的はいい会社を探すためです。
決して金額を下げることが目的ではないので、無理な値下げ交渉をするのはやめましょう。
いい会社であれば相見積もりを取っていると伝えるだけで、ベストな金額を持ってきます。
値下げは難しくても、塗料の見直しや補修範囲の変更など、予算に合った工事になるよう提案してくれることもあります。
安い業者の見積もりをちらつかせて、無意味に金額を下げる交渉をやめましょう。
4. 制度を上手に利用する
大規模修繕工事には自治体の助成金や補助金が利用できる場合があります。
自然災害などの被害にあった場合は、火災保険が適用されることもあります。
見積もりを依頼するときに、使える制度がないか相談してみましょう。
まとめ
今回は、「大規模修繕工事」について紹介しました。
そのためには、最低でも次の2点は必要です。
- 複数業者から見積もりを取る
- 見積内容をしっかりと確認する
大規模修繕は金額も大きく、建物の耐久性にも大きく影響する大事な工事です。
目先の安さに囚われて、安かろう悪かろうの工事にならないようにしっかりと検討して行いましょう。