こんにちは、マニです。
- キャッシュフローってなに?
- 利益とは違うの?
- 失敗したくないんだけど、どうしたいいの?
こんな疑問をお持ちのあなたへ。
本記事では、キャッシュフローの計算方法と注意点をまとめました。
これから、不動産投資を始めたい方は、必須のテーマなので、しっかり身に着けておきましょう。
キャッシュフローの計算方法
キャッシュフローの意味は、次の通り。
実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。
出典:Wikipedia
つまり、事業を行って、最終的に手元に残るお金(キャッシュ)のことです。
キャッシュフローの計算方法は、次の通り。
キャッシュフロー = 家賃収入 – 運営経費 – 固定資産税 – 返済額(元金+利息) – 所得税・住民税
式自体は、そんなに難しくはないですね。
1年間の家賃収入から、すべての支出を払った残りのお金が、キャッシュフローです。
キャッシュフローの式の中身を分解
次に、キャッシュフローを理解するうえで、重要な視点をお話しします。
まずは、キャッシュフローの計算式を分解。
- 家賃収入 – 運用経費 – 固定資産税 = 物件の稼ぐ力
- 物件の稼ぐ力 – 減価償却費 – 返済利息 = 税引き前利益
- 税引き前利益 × 税率 = 所得税・住民税
- 税引き前利益 – 所得税・住民税 = 税引き後収益
- 税引き後収益 – 返済額元金 = キャッシュフロー
キャッシュフローは、式自体を覚えるよりも、これから解説するそれぞれのパートの意味を、しっかりと理解することが重要です。
1. 家賃収入 – 運用経費 – 固定資産税 = 物件の稼ぐ力
家賃収入・運用経費・固定資産税は、物件の立地・築年数・間取りで、おおむねその金額が決まります。
立地のいい物件は、家賃が高くとれるため収入が多く、空室率も少ないので経費が掛かからない。
その代わり、固定資産税が高くつく。逆もしかりです。
物件のもつ、純粋な『稼ぐ力』と言えます。
大家の頑張りや、力量に影響されることもありますが、物件そのもののウエイトのほうが大きいです。
物件の稼ぐ力は、利回りでみるとわかりやすいです。【簡単】不動産投資の利回りについて解説も併せて、ご覧ください。
2. 物件の稼ぐ力 – 減価償却費 – 返済利息 = 税引き前利益
税引き前利益は、次のパートで登場する所得税・住民税を計算するために必要な金額です。
減価償却とは、以下の通り。
長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。
出典:Wikipedia
ここは、ちょっと理解するまでに、時間かかるかもしれませんね。
建物(土地は除く)は資産であると同時に、不動産投資をする上で、お金を稼ぐための道具でもあります。
道具の購入は、通常、『1.物件の稼ぐ力』の運営経費にあたります。
しかし、建物の場合、金額が大きすぎ。
一度に経費にすると、その年は大赤字になります。
そのため、
時間の経過とともに価値が下がり、その下がった価値分を、経費として扱う
…と、覚えてください。
税引き前利益はあくまで所得税・住民税を計算するための便宜上の金額です。
実際は10年経っても、資産価値が上がり、物件価格が上がる物件もあります。
土地は、古くなることはないので、減価償却費にはあたりません。
減価償却の例
例)木造アパートの場合
減価償却期間は新築から22年。
2200万円の木造アパートは1年で100万円ずつ減価償却(価値が下がる)して、22年後に価値がゼロになる
(…と便宜上、覚えてください)
ローンを借りている場合は、さらに返済利息も引きます。
3. 税引き前利益 × 税率 = 所得税・住民税
税引き前利益に一定の税率を掛けたものが、所得税・住民税です。
日本は累進課税を採用して、所得税の税率は各個人によって変わります。
収入が多い人ほど、税率が高くなり、所得税を多く払わないといけません。
住民税は一律10%。
- 年収が300万円の人
- 年収が2000万円の人
では、同じ物件を購入しても、支払う税金が全く違います。
- 年収が300万円の人 所得税+住民税=15%
- 年収が2000万円の人 所得税+住民税=43%
税引き前所得が500万円あった場合
- 年収が300万円の人=500×15%=75万円
- 年収が2000万円の人=500×43%=215万円
本業の稼ぎが多いというだけで、140万円も多く、税金を払わないといけません。
4. 税引き前利益 – 所得税・住民税 = 税引き後収益
これが、不動産投資における『利益』。
これは、キャッシュフローではありません。
よく間違える人がいるので、注意してください。
税引き後収益-返済元金=キャッシュフロー
税引き後収益から、返済元金を引いた金額がキャッシュフロー。
利益との違いを、よく理解してください。
以上、キャッシュフローを計算するステップはわかりましたか。
不動産投資はキャッシュフローを最大化することが大事
キャッシュフローを最大化することが大事、という意見をよく耳にしますね。
じゃあ、どうすればよいのか。
上の式から、解説していきます。
方法その1 物件の稼ぐ力を大きくする
家賃収入 – 運用経費 – 固定資産税 = 物件の稼ぐ力
これは、わかりやすいですね。
不動産投資初心者は、まずは物件の稼ぐ力がある物件を、探すところから始めましょう。
稼ぐ力のない物件は、買ってはいけませんよ。
物件の探し方は【継続が大切】不動産投資の初心者が物件を探す方法を解説も併せてご覧ください。
方法その2 減価償却費を大きくする
物件の稼ぐ力 – 減価償却費 – 返済利息 = 税引き前利益
減価償却費を大きくすれば、税引き前利益が小さくできることがわかります。
減価償却費は、建物の種類(木造=22年、鉄骨造=27年、RC造=47年)で決まります。
- 新築-木造アパート 22年
- 築30年-築古アパート 22年×0.2=4年
同じ金額の物件の場合、築古物件を購入すれば、1年間で計上できる減価償却費を大きくでき、税引き前利益を小さくすることができます。
方法その3 所得税率を抑える
所得税は、収入が多くなれば、税金が多くなります。
年収2000万円の人は、そういないでしょう。
しかし、物件を2棟、3棟と増やしていけば、不動産所得が増え、いずれ年収2000万円になります。
そうなると、所得税を減らすために、少しでも掛ける税率を抑える必要があります。
具体的には、
- 物件の所有名義を分散する(妻、両親など)
- 法人を設立する
妻が専業主婦の場合、税率は15%です。
所得の少ないひとに、所有名義を分散すれば、税率を下げ、所得税を小さくできます。
法人は所得税率が一定のため、収入が増えても、所得税率が高くなることはありません。
方法その4 返済額(利息+元金)を減らす
返済額を減らせば、キャッシュフローを大きくできます。
返済額を減らす方法は、
- 借入金額を減らす
- 借入期間を長くする
頭金をたくさん入れて、借入金額を減らせば、一年間の返済額を減らすことができます。
また、借入期間を長くできれば、1年間で払う返済額を減らせます。
注意点
キャッシュフローの計算方法と、最大化する方法を説明してきました。
最後に、キャッシュフローを考えるうえで、注意すべきことを解説します。
キャッシュフローをばかりを意識しすぎない
キャッシュフローは実際に手元に残るお金です。
本やブログにもキャッシュフローが重要であると書いてあります。
もちろん、その意見には賛成です。
しかし、キャッシュフローを重要視するあまり、間違った方法をとってしまうことがあります。
それは、キャッシュフローを減らす方法が、
方法その4 返済額(利息+元金)を減らす
にばかり向いていることです。
借入金額を減らすために、頭金を入れることはいいです。
問題は、1年間の返済金額を減らすために、単純に借入期間を延ばせばOKと思っている人が多いことです。
特に初心者は危険。
築古マンションに35年ローンなんて無謀。
まずは『利益』が大事
キャッシュフロー以前に『利益』の最大化を目指しましょう。
『利益』が、事業をする上での、実質的な儲けです。
どちらかというと、こちらを最大化するほうが大切。
キャッシュフローを増やす行為は、違う側面で見ると、その年の手元に残るお金を増やしているだけです。
借入期間を延ばす方法は、実は、将来のキャッシュフローを前借しているだけなんです。
キャッシュフローがマイナスでも破綻しない計画をたてる
『利益』がマイナスはだめ。完全にNG。
持論ですが、
キャッシュフローがマイナスでも個人として、破綻しなければそれはそれでOK
だと思います。
例えば、本業から年間100万円貯金できる人が、融資期間5年で物件を購入したとします。
融資期間が短すぎるため、返済額が大きく、キャッシュフローが毎年100万円マイナスでたとしても、貯金分で補填できるため破綻しません。
なんなら、たった5年で返済が終わるので、利息も少なくて済み、6年目からは、収益がすべてキャッシュフローになります。
購入時に頭金を用意できなかったけど、後払いで、頭金を用意したのと同じ
これなら融資を受けないと買えない物件を、小さいリスク(短い返済期間)で物件購入できたことになりますね。
当然、手元に現金が残らないので、あまり賢いやり方ではありません。
ただし、収益がしっかりでていれば、こういう買い方もありだと思います。
キャッシュフローに魅了されると
逆に目先のキャッシュフローに惑わされて、リスク(長い返済期間)を見落とした場合、将来、キャッシュフローが悪化します。
しっかりとシミュレーションせずに、目先のキャッシュを得たいために間違った戦略をとると、破綻します。
不動産投資は、期間の長い事業です。
しっかりと計算して、もっとも失敗しない方法を検討して、すすめましょう。
破産しなければ、キャッシュフローがマイナスでも構いません。
繰り上げ返済したと思えばいいんです。
目先のキャッシュフローをとるメリット
目先のキャッシュフローを重要視する局面もあります。
- キャッシュフローが悪化する前に、売却する場合
- 2棟目、3棟目の購入のために、頭金を用意したい場合
この場合は、キャッシュフローをプラスにする以外の戦略が必要です。
ほかの戦略もないのに、キャッシュフローを最大化するためだけの戦略は、戦略なき戦略で不毛です。
それは、しょせんただの数字遊び。
破綻せずに、収益を上げ続ければ、たとえ、手元に現金が残らなくても資産は形成できます。
大事なことは、目先の現金でなく、健全な事業を続けていけるか、ということです。
物件の購入前にしっかりと戦略をたて、失敗しない不動産投資をしていきましょう。