こんにちは、マニです。
空室対策で人気のインターネット無料設備。話は聞いたことあるけど、費用がかかりそうで尻込みしていませんか。
今回はインターネット無料設備についてその特徴や導入の注意点、実際に私が導入した際にかかった費用をすべて紹介します。
インターネット無料設備は空室対策としてとても高い効果を期待できます。この記事を読めば、インターネット無料設備のメリットや選ぶ際のポイントを理解できると思います。
ぜひ最後まで読んでインターネット無料設備の導入を検討してみてください。
インターネット無料設備とは
賃貸住宅新聞によると2020年の人気設備ランキングで堂々の1位を獲得したのが「インターネット無料設備」。
単身者タイプでも、ファミリータイプでもここ数年その座をほかの設備に明け渡していない不動の人気です。
インターネット無料設備のメリット
インターネット無料設備にはどんなメリットがあるのでしょうか。
入居者側と大家側に分けてそのメリットを紹介していきます。
入居者のメリット①インターネットが無料で利用できる
名前の通りですが、インターネットが無料で利用できます。
個人で契約すると4000円~6000円程度かかるインターネット利用料金。それを無料で利用できるのですから、入居者にはメリットが大きいですね。
たとえほかの物件より家賃が2000円~3000円高くてもインターネットが無料で利用できるのであればそちらの物件を選ぶ人もいるでしょう。
入居者のメリット②面倒な手続きが不要
インターネットを個人で契約する場合、個別にプロバイダと契約しなければなりません。
引っ越してすぐにインターネットを利用するには事前の手続きは必須ですし、ネット開通に工事の立ち合いが必要な場合もあります。
退去に伴う解約も個人で契約する場合は手続きが必要です。利用期間が短ければ違約金を払わないといけないケースもあります。
インターネット無料設備がついた物件であれば、利用期間に関係なく面倒な手続きも不要でいつでも利用を停止できます。
大家のメリット①物件の露出が増える
新しい部屋を探す場合、ホームズやスーモなどのポータルサイドで下調べをする人がほとんどです。
最近は条件検索でインターネット無料設備を選択する人も増えています。
ポータルサイトでの検索にヒットし露出が増えることで内見者が増え、空室期間を短くすることが可能です。
大家のメリット②ほかの手法と比べて費用対効果が格段に高い!!
賃貸住宅新聞の「2020年人気設備ランキング」の上位には次のような設備が入っています。
- インターネット無料設備
- オートロック
- 宅配ボックス
- 浴室乾燥機
- ホームセキュリティ
- インターネット無料設備
- 宅配ボックス
- オートロック
- 追い炊き機能
- システムキッチン
1~5位までどれも魅力的な設備がランクインしていますが、どれも導入するには多額のコストがかかります。2~4位までの設備はどれも数十万円以上のコストが必要で、全戸数に導入しようと思えば100万円を超える費用がかかるものもあります。
単身者の男性であればオートロックやホームセキュリティーはいらないでしょうし、ファミリータイプの追い炊きやシステムキッチンも好みによるところでしょう。
インターネット無料設備の場合、ネット料金が浮くという目に見えるコストメリットがあるので誰が見てもお得です。宅配ボックスや浴室乾燥機があれば便利ではありますが、目に見えてお得かというとそれもピンとこないですね。
インターネット無料設備の最大の強み
- お得なことが目で見てわかる
- スマホさえ持って入ればほぼすべての人がお得になる
これに尽きると思います。
人気設備ランキングで不動の1位のわけはここにあると思います。
インタネット無料設備の仕組み
インターネット無料設備がいかに有効かわかりましたね。
導入にあたってまずはインターネット設備の仕組みを理解しておきましょう。一言でインターネット無料設備といってもそこにはいくつかの種類が存在します。
仕組み(1)各住戸専用プラン(有線)
各住戸にそれぞれ有線でインターネット回線を供給する仕組みです。
各住戸に個別にインターネット回線を引き込むため、同じ建物で同時にインターネットを利用しても速度の低下がありません。ネット速度が安定しているという点では最も優れています。
それぞれに回線を引くために導入費用や使用料は高くなります。各住戸に回線を直接引き込む必要があるため導入にあたっては入居者の立会のもと、部屋の中での工事が必要です。
仕組(2)各住戸共用プラン(有線)
インターネット回線を建物に共有で引き込み、各住戸へは引き込んだ回線を分配して供給する仕組みです。
一つのインターネット回線を複数の住戸で共有して利用するため、同じ建物で同時に使う人が増えると速度が低下します。導入コストは「(1)各住戸専用プラン」と比べると安く抑えられますが、速度の安定性が劣ります。
導入にあたっての部屋の中の工事は「(1)各住戸専用プラン」と同様、入居者の立ち合いが必要です。
仕組(3)各住戸無線LANプラン
インターネット回線を引き込み、共用部にWifi機器を設置して無線にて各住戸に供給する仕組みです。
各住戸には有線LANや機器類を設置しません。各住戸内の工事は不要でWifiルーターなども不要なので、入居者の実質的な負担をゼロにすることができます。
「(1)各住戸専用プラン」「(2)各住戸共用プラン」は有線でパソコンなどに接続するだけなら良いですが、スマホなどの無線利用には入居者自身がWifiルーターを用意する必要があるのでその分費用が必要です。
「(3)無線LANプラン」は工事費が安いのがメリットですが、Wifiの設置環境では電波の悪い部屋があったりRC造など構造によっては導入ができないなどのデメリットがあります。
(1)各住戸専用(有線) | (2)各住戸共有(有線) | (3)無線LAN | |
---|---|---|---|
メリット | 利用者が増えてもネット速度が低下しない | 利用料が安い ネット速度は比較的安定している | 導入コスト、利用料が安い 入居者の負担がゼロ(ルーターなどが不要) |
デメリット | 導入コスト、利用料が高い 工事に立合が必要 | 利用者が増えると速度が低下する | 部屋によっては電波が悪い 利用できない構造(RC造など)がある |
インターネット無料設備を選ぶポイント
インターネット無料設備が何ぞやということを理解できたところで、次にインターネット無料設備を選ぶポイントを紹介していきます。
まずは入居者の思いを考えてみよう
不動産投資に限らず相手の思いを考えてみることは大切です。
物件を探す入居者はインターネット無料設備を条件に入れる場合、どのようなことを考えているでしょうか。少し考えてみましょう。
インターネットは無料だけどその分家賃や共益費に費用が上乗せされているんじゃないの?
インターネット無料って結局のところ速度が遅いんじゃないの?
大きくはこんなところでしょう。インターネット無料設備を導入する際には、こんな入居者の不安を解消して快適なネット環境を提供してあげましょう。
不安1「家賃や共益費に費用が上乗せされているんじゃないの?」
インターネット無料設備導入には当然コストがかかります。
かかった費用をしっかりと回収するのか、不動産投資の必要経費として入居者に還元するかの決めるのは大家であるあなた自身です。
どちらが正しいというのはありません。満室で入居者が満足すればどちらを選んでも正解ですし、利益は少しでも多いほうがいいのは当然です。
もう少し詳しく解説します
例えばインターネット無料設備の導入に1戸当たり月に2000円の費用がかかるとしましょう。
この場合、次の3パターンの考えた方が存在します。
- 利益を伸ばすために家賃を3000円あげる
- かかった費用の2000円だけ家賃をあげる
- 必要経費として家賃は据え置き
投資家としてのスタンス次第でいずれの判断もありますが、最終的には入居者がメリットととらえればどれでもいいです。個人でインターネットを契約すれば4000円~5000円程度の費用がかかるので「1.家賃を3000円上げる」でも入居者としては十分にメリットはあります。
立地や設備が良く築年数も浅い物件であれば、「1.家賃を3000円上げる」でも十分入居者は決まるでしょう。インターネット無料設備を導入する前と比べて利益も1000円増えることになります。
いっぽう立地や設備が悪く築年数も古いような物件は「3.家賃は据え置き」でようやく決まるかもしれません。それでも空室期間が延びるよりは利益は伸ばせるので有効な手法です。
築年数が古く立地も悪いのに家賃相場より高くしてしまえばいくらインターネットが無料でもお得には感じないでしょう。ライバル物件をよく調査して最終的には投資家自ら判断しなければなりません。
不安②「インターネット無料って速度が遅いんじゃないの?」
インターネット無料設備が導入された物件は通信速度が遅いといった意見を目にします。
実際に速度が遅い物件もあるでしょう。これはなにもインターネット無料設備の速度が遅いわけではありません。
インターネット無料設備の仕組で紹介したように、どの方法を選ぶかによって状況が変わってきます。「(1)各住戸専用プラン」を導入した物件で速度が遅いということはあまりないでしょうが、「(3)無線LANプラン」は部屋によっては速度が全くでない場合もあります。
小規模の木造アパートで入居者が動画視聴程度しかしない場合は「(1)各住戸専用プラン」はあきらかにオーバースペックです。入居者は満足しますが費用対効果が悪いです。
小規模物件であれば「(2)各住戸共用プラン」で十分ですし、設置位置をしっかり検討すれば「(3)無線LANプラン」でもいいかもしれません。
逆に大規模のRC造物件では「(2)各住戸共用プラン」でも速度が安定しないかもしれません。入居者がヘビーユーザーばかりでは共用の回線ではパンクしてしまうこともありますし、そもそも「(3)無線LANプラン」では電波が届きません。
インターネット無料設備を導入するときはしっかりと仕組みを理解して適正な設備を入れなければ入居者の満足は得られません。
インターネット無料設備を選ぶポイント
ここまで理解していただいたところで、インターネット無料設備を選ぶポイントを紹介します。
複数社から見積もりを徴収する
インターネット無料設備を供給している会社はいくつもあります。
それぞれの会社によって得意不得意がありますし、供給する仕組みにも特徴があります。NTTなどの大手は「1.各住戸専用プラン」でサポート充実の安定したサービスが特徴ですが、その分費用が高くなります。
インターネット無料設備の供給を専門に行っている会社は「2.各住戸共用プラン」や「3.無線LANプラン」などを格安で提供しているものもあります。
配線方式を確認する
複数社から見積もりを取ったら各社がどのような仕組みでインターネットを供給するかを確認しましょう。
NTTから見積もりをとり「1.各住戸専用プラン」の説明を聞き、そのあとにインターネット供給専門会社から「2.各住戸共用プラン」の見積もりをとって同じ仕組みだと勘違いしてしまうことがあります。
費用は当然後者のほうが安いですが供給方法が違いますし、アフターサービスにも差が出てきます。内容をしっかり確認せずに契約してしまうと、あとになって速度が遅いなどのクレームになる可能性もあります。
インターネット無料設備の導入にはサポートの有無や、契約期間の有無などトータルで判断しなければなりません。
【体験談】インターネット無料設備導入の流れを紹介
最後に、私がインターネット無料設備を導入した時のエピソードを紹介します。
どういった手順でどのように選んだのか、これからインターネット無料設備を導入したいと思っている人の参考になると思います。まずは私の前提条件から。
- 1R×8戸木造アパート
- インターネット無料設備を前オーナーがすでに導入済み
- 現在は「2.各住戸共用プラン」
- 元の使用料は13000円/月
- 既存の設備更新に15万円必要
- 更新後の使用料は10000円/月に減額
そもそもの発端として、前のオーナーが導入していたインターネット無料設備のリース期間が終了したということがありました。サポートを継続するには機器を更新する必要があるということで見積もりを徴収したところ工事費に15万円かかるということでした。
「月々の使用料が下がるので、機器更新の費用は5年半でペイしますよ」
という説明でしたが、そこは腐っても不動産投資家。競争のないところにコストメリットはありません。
既存の業者さんには申し訳ないですが、このタイミングで複数社見積もりを取ることにしました。
業者探しはインターネットで
いまいちこの業界が把握できていなかった私。
とりあえずネットで「インターネット無料設備」と検索して、ヒットした会社に片っ端から見積もり依頼をかけました。そのなかで最終的に候補に残ったのは3社です。
A社(既存) | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
導入費用 | 154,000 | 357,500 | 165,000 (200,000) |
使用料(月) | 10,560 | 7,260 | 7,700 (9,500) |
支払総額(6年間) | 914,320 | 880,220 | 719,400 (884,000) |
支払総額(10年間) | 1,421,200 | 1,228,700 | 1,089,000(1,340,000) |
仕様 | 6年契約 保守込み IpV6 | 6年契約 保守込み IpV4 | 契約期間なし 保守込み IpV4 over IpV6 |
C社は交渉後の値引き金額を示していて、( )内は交渉前の金額です。いずれも供給の仕組みは同じ「2.各住戸共用プラン」で見積もり徴収しました。
コストはC社が一番安い
結果的にC社がコストで最安値になりました。もともと導入費用200,000円、使用料月9,500円で6年間の支払総額が884,000円とB社と差はありませんでした。
月々の使用料はB社がダントツで安く長期の10年で考えた場合、B社が最も安かったです。どこも保守費用込みで機器の故障は無償で対応してくれるという点はどこも同じです。
細かい仕様まで隅々チェック
細かい説明は省きますが、とにかく「IpV4」より「IpV6」のほうがシステムが新しく速度が安定します。その点ではコストが一番高いA社が一番よいです。
B社は1世代古い「IpV4」を採用していて速度の安定が一番弱い。C社はいつもは「IpV4」で回線が込み合ってきたら「IpV6」に切り替えるというコストを抑えつつ一部、最新のシステムを採用しているということでした。
これは複数社見積もりをとって中身を隅々まで比べて初めて分かった違いです。業者もそこまで説明してきません。見積書の中にさらっと書いてあるだけです。
そもそも「IpV」がなんぞやはこちらから聞いて初めて知りました。
最後はC社とコスト交渉
C社にターゲットを絞った私が次にとった行動はコスト交渉です。
契約期間もないしシステムも最新でC社が一番よさそうです。コストは他社のほうが安く仕様のメリットがコストメリットを上回っているかどうかわかりません。コストをもう少し抑えることはできませんか。
ここは正直に相談ベースで交渉です。強気にいってもいいことはありません。もし安くしてもらっても嫌な客というレッテルを張られるだけです。
交渉前の金額 | 交渉後 | |
---|---|---|
導入費用 | 200,000 | 165,000 |
使用料(月) | 9,500 | 7,700 |
支払総額(6年間) | 884,000 | 719,400 |
支払総額(6年間) | 1,340,000 | 1,089,000 |
仕様、コスト面で申し分ありません。C社さんにお願いすることにしました。
カットした金額は大したことはありませんが、こういった経験を少しづつ積んで投資家としてのスキルが上がっていくんだろうなと思います。
C社にはおまけもついていた
最終的にC社にお願いすることに決めました。
これは後になって分かったことなんですが、実はC社は各世帯に最新のWifiルーターを無料貸し出ししてくれるサービスが含まれていました。
実施価格1万円程度の機器を8戸分すべてです。たしかに見積書にも書いてありましたが全く気づきませんでした。
しかもWifi機器の故障も無償で対応してくれるということ、、、至れるつくせりですね。ありがたや。
やっぱり複数社見積・配線方式の確認は大事
以上の経験から先ほど紹介した複数社見積、配線方式の確認が大事なことが理解できると思います。
既存の会社に丸投げしてほかの会社から見積をとらないと費用を抑えることはできなかったですし、そもそも仕様の違いがそんなにあるなんて知ることもできなかったと思います。
インターネット無料設備の導入メリットを検証
最後にインターネット無料設備の導入メリットを検証してみましょう。
やることはライバル物件の調査です。「SUUMO」で周辺物件を調査してみます。今回、検索した条件は次の通り。
- 最寄り駅から徒歩指定なし(私の物件は徒歩30分以上)
- 築年数20年以内(私の物件は築13年)
- 間取りは1R、1K
- RC、鉄骨、木造すべて
この条件で検索したときの物件ヒット数は242件、家賃の中央値は4.15万円でした。
今回は簡易的な調査のため、平均家賃ではなく家賃の中央値(242件のちょうど真ん中の物件の家賃)を採用しています。
物件ヒット数41件、家賃の中央値は4.5万円になりました。
条件なし | インターネット無料設備あり | |
---|---|---|
検索ヒット数 | 242件 | 41件 |
家賃の中央値 | 41,500円 | 45,000円 |
インターネット無料設備を導入することで周辺物件のライバルがいっきに1/6まで減りました。これだけでもインターネット無料設備がいかに差別化ができるかがわかると思います。
家賃の中央値も4.5万円までアップ。ちなみにわたしの物件の家賃は4.3万円です。
インターネット無料設備の導入メリットを数値で検証してみる
私が今回導入したインターネット無料設備のはコストは一般的な契約期間である6年間で考えると総額72万円必要です。
72万円÷6年÷8戸=1250円/戸
とりあえず6年間設備の更新をせずに利用し続けるとしたら、1戸当たり月に1250円で導入できたことになります。この数値を使って導入メリットを数値で検証してみましょう。
インターネット無料設備を条件検索にチェックしていないときの物件数が242件で家賃の中央値は4.15万円です。
仮に私の物件が242件の中央値である4.15万円で入居を決められるとしましょう。(客観的に見て243件の中央値の物件より私の物件のほうが競争力はありそうですが)
平均家賃4.15万円+導入費用1250円=約4.3万円
ちょうど私が貸し出している家賃の4.3万円と近い金額になりました。そしてインターネット無料設備を導入している41件の家賃の中央値の4.5万円を2000円も下回っています。
さらに家賃を1000円ほど上げて募集しても入居は決まるかもしれません。これが競争力というやつです。
インターネット無料設備の強み少しは伝わりましたか??
まとめ
今回はインターネット無料設備について紹介しました。
導入メリットは以下の通りです。
- 無料でインターネットを使える
- 入居者の手続きが不要
- ライバル物件に差がつけられる
インターネット無料設備を導入するにはいくつかの押さえておきたいポイントがありますが、それさえしっかり押さえてしまえばメリットだらけの設備だと思います。入れない手はありません。
部屋のリフォームや広告費の増額、フリーレントなど一時的な空室対策をするよりも競争力がとても高い方法だと思います。
空室対策を検討中の方は、ぜひ一度インターネット無料設備の導入を検討してみてください。