こんにちは、マニです。
「不動産投資のシミュレーションしてみているんだけど、固定資産税っていうのがいまいちよくわからない。不動産業者に聞いたら、それぞれの金額を教えてくれるらしいけど、いちいち聞くの面倒くさいな。いくらぐらいかかるのか、目安でいいので教えて。」
こんな疑問を、解決します。
今回の内容
- 不動産投資の固定資産税を解説
- 私の物件で具体的な金額を計算してみる
- 固定資産税が収支にどれぐらい影響するか検証
わたしは地方に1棟アパートを所有しています。
今日は、そんな私が解説します。
不動産投資の固定資産税の計算方法を解説

覚えるのは、次の二つ。
- 固定資産税
- 都市計画税
固定資産税と都市計画税をあわせて、「固都税」と呼んだりします。
固定資産税は、建物と土地に対しての税金。
物件の所有者が納税します。
マイホームだけでなく、不動産投資物件にも必要です。
このほかに、都市部では、都市計画税というのも払わなくてはなりません。
さっそく計算式をみてみましょう
では、それぞれの計算式を紹介します。
固定資産税、都市計画税はともに、「固定資産税評価額」に一定の税率をかけて、計算します。
税率
一定の税率は、次の通り。
- 固定資産税 1.4%
- 都市計画税 0.3%
物件の評価額は土地と建物、それぞれで金額を計算します。
土地評価額
計算式は、次の通り。
土地評価額 = 面積 × 路線価
「路線価」とは、土地の価格を決めるために国が決めた価格です。
実際に路線価がいくらなのかは、国税庁のホームページから確認することができます。
自分の住んでいる、街の路線価がいくらなのか、試しに調べてみましょう。
土地は軽減措置がある
土地は住宅用地として、有効活用すると、評価額を軽減してくれる制度があります。
賃貸住宅を建てている場合、1/6に減免されます。
土地評価額 = 面積 × 路線価 × 1/6
不動産投資のシミュレーションをする場合は、基本的に賃貸用建物が経っている場合がほとんどなので、こちらの式を使用します。
田舎の地主が、不動産業者に騙されて(?)、田んぼのまん中にアパートを建てるのはこのためです。
「遊ばせている土地に、賃貸住宅を建てれば、固定資産税も安くなり、家賃も入ってきますよ」
というやつに、踊らされているんです。
建物評価額
計算式は、次の通り。
建物評価額 = 評点1点あたりの価額 × 床面積 × 単位面積あたりの再建築費評点 × 経年減点補正率
聞きなれない、言葉がたくさん出てきましたね。
ここは、簡易的に
建物評価額 = 床面積 × 再建築価格 × 経年減点補正率
と、置き換えても問題ないです。
「再建築価格」とは、対象とする建物を「再び建築するのに必要な費用」のことです。
構造によって、金額が異なり、具体的には、次の金額を利用します。
- 木造 15万円/m2
- 鉄骨造 18万円/m2
- RC造 20万円/m2
「経年減点補正率」とは、建物は経年劣化するので価値が下がります。
その価値が下がった分を、決められた比率で減額していく措置のことをいいます。
年を経るごとに、価値が下がって、新築時の20%の価値になったところで、減点補正がなくなります。
最低でも、再建築価格の20%の評価額は残るということです。
「経年減点補正率」については、法務局のこちらのサイトで確認できます。
固都税
「土地評価額」と「建物評価額」を足した金額に、税率をかけたものが「固都税」になります。
固都税 = 土地評価額 + 建物評価額 × 1.7%( 1.4% + 0.3% )
固都税は、一般的に購入する物件価格の「0.3~1.0%程度」と、言われています。
私の物件で具体的な金額を計算してみる

次に、私の購入した物件で、実際に固都税を計算してみましょう。
- 物件 3600万円(建物1600万+土地2000万円)
- 建物面積 215m2
- 土地面積 330m2
- 築13年 木造
- 路線価 38,500円
- 満室家賃 407万円 利回り 11.3%
土地評価額
土地評価額 = 330m2 × 3.85万円 × 1/6 = 212万円
建物評価額
建物評価額 = 15万円 × 215m2 × 0.32 = 1032万円
固都税
土地と建物の評価額を足して、税率をかけます。
固都税 = 1244万円( 212万円 + 1032万円 ) × 1.7% = 21.1万円
以上、固都税の具体的な計算をしてみました。
意外と簡単ですね。
ちなみに、この21.1万円。物件価格に占める割合は、
21.1万円 ÷ 3600万円(物件価格) = 0.59%
物件価格の0.3~1.0%の中に入りましたね。
一般的に言われていることは、妥当そうです。
また、家賃収入に占める割合は、
21.1万円 ÷ 408万円(家賃収入) = 5.18%
一般的に、経費率は20%で計算しますが、そのうちの5%は固定資産税が占めていることがわかりますね。
固定資産税について、もう少し考えてみる

固定資産税の計算方法が理解できたところで、今度は固定資産税が、収支にどれぐらい影響するか検証してみます。
今回は、別の物件と比較して、考えてみます。
(対象1) 私の保有物件
- 物件 3600万円( 建物1600万 + 土地2000万円 )
- 建物面積 215m2
- 土地面積 330m2
- 築13年 木造
- 路線価 38,500円
- 満室家賃 407万円 利回り 11.3%
(対象2) 同じエリアの築古RCマンション
- 物件 2550万円( 建物400万円 + 土地2100万円 )
- 建物面積 233m2
- 土地面積301m2
- 築43年 RC造
- 路線価 67,000円
- 都市計画税の対象エリア
- 満室家賃 288万円 利回り 11.3%
実は、この物件、現在所有している物件と、同時進行で購入を検討をしていた物件です。
結構、本気で購入を考えていましたが、結果的に、築年数が経ちすぎていて、銀行融資がつかず、断念しました。
利回りも、ちょうど11.3%と同じなので、比較にはちょうど良いかもです。
固定資産税を計算
(対象2)築古RCマンションを、同じように計算してみます。
土地評価額 = 301m2 × 6.7万円 × 1/6 = 336万円
建物評価額 = 20万円 × 233m2 × 0.2 = 932万円
固都税 = 1268万円( 336万円 + 932万円 ) × 1.7% = 21.6万円
物件比率 21.6万円 ÷ 2550万円 = 0.85%
収入比率 21.6万円 ÷ 288万円 = 7.49%
物件価格に占める比率も、一般的に言われる数値の中に入りましたね。
家賃収入に対する比率も、物件1とあまり、違いはなさそうです。

以上、どの物件でも、固定資産税の影響はさほど変わらなさそうです。
本当にそうだろうか??
ここで、終わったら、大した成果はないですね。
今回は、もう少し深堀して検証してみましょう。
今回比較した物件、利回りも同じぐらいですが、決定的に違うことがあります。
それは、ずばり「築年数」と「構造」です。
これから、行う検証は、だいぶ乱暴ですが、イメージだけでも感じとってください。
今回の検証のポイントは、固定資産税が「築年数」と、「構造」でどのような影響を及ぼすかです。
構造を変えることはできませんが、築年数はシミュレーションで変えることが可能です。
条件をある程度揃えて、もう一度、検証してみましょう。
築年数を変えて再度、計算してみる
具体的には、物件1の10年後(築23年)と物件2の10年前(築33年)を想定して比較しなおしてみます。
家賃収入は1年間に1%下落すると仮定して計算します。
物件1 築23年と想定
土地評価額 = 330m2 × 3.85万円 × 1/6 = 212万円
建物評価額 = 15万円 × 215m2 × 0.2 = 645万円
固都税 = 857万円( 212万円 + 645万円 ) × 1.7% = 14.6万円
収入比率 14.6万円 ÷ 367万円(10%の家賃下落) = 3.97%
物件2 築33年と想定
土地評価額 = 301m2 × 6.7万円 × 1/6 = 336万円
建物評価額 = 20万円 × 233m2 × 0.26 = 1226万円
固都税 = 1562万円( 336万円 + 1226万円 ) × 1.7% = 26.6万円
収入比率 26.6万円 ÷ 317万円(10%の家賃上昇) = 8.38%
結果はこんな感じです。

築年数をそろえたといっても、それでもまだ、10年の開きがあります。
にもかかわらず、家賃収入に占める固定資産税の割合が
- (物件1)3.97%
- (物件2)8.38%
と、4.5%もの差がでました。
この差はいったいなんなんでしょうか。
建物の構造の違いによる
さきほどの、「経年減点補正率」の表をもう一度見てください。
出典:法務局
木造は築20年で、最低限度の20%まで下がっているのがわかります。
いっぽうRC造は耐用年数の45年を過ぎてようやく、最低限度に達しています。
それまでは、高い評価のまま固定資産税を課せられていることがわかります。
築年数が新しければなおさら、その差は大きくなっています。
立地、路線価にもよる
路線価をみてい頂けるとわかりますが、物件2のほうが、路線価も高く、立地の条件は物件1よりいいです。
当然、RC造のほうが、木造より人気もあり、入居付けしやすいです。
立地のよさは賃貸経営にはプラスですが、固定資産税に関してはマイナスの要因だということです。
ちなみに、物件2をさらに10年遡らせて、築23年と仮定して同じ条件で計算した場合、家賃収入に占める固定資産税の割合は、「11.6%」にもなります。
ここまでくると、木造との差は歴然ですね。
今回比較した2物件は、物件2が立地が良いといっても、格段に良いわけではありません。
そもそも路線価38,500円の場所で、勝負しているのが信じられませんが、物件2の67,000円も全国的に見れば、まだまだ低いほうです。
首都圏では、10万円を超えるのが、当たり前だと思います。
今回比較した2物件が、地方の同じエリアでの比較だったため土地評価額にはあまり差がありませんでしたが、これが、東京の物件と比較した場合、土地評価額にも大きな差が出たと思います。
本日の気づき
固定資産税について、深堀して検証しました。
今日は、こんなことに気づいたと思います。
固定資産税の収入に対する割合を考えた場合、
- RC造より、木造のほうが有利
- 首都圏より、地方のほうが有利
首都圏のほうが、当然、地方より家賃は高くとれます。
賃貸需要もあり、空室率も低く抑えられるでしょう。
地方-木造もありかも
ですが、私の1Rアパートはそれでも4.3万円をとれています。
地方とはいえ、満室運営することも十分可能です。
地方は、物件価格が安く、表面利回りが首都圏より2~3%高い物件が多いです。
それに加え、今回の検証で分かったように、首都圏のRC造に比べ、地方の木造は同じ表面利回りでも、収入に対する固定資産税の割合も2~5%程度、有利だということがわかります。
なにより、固定資産税は大家の努力では、一切、金額を安くすることはできません。
そのほかの経費を安くしたり、空室期間を短くすることは、大家の努力でいくらでも可能です。
固定資産税の比率が高い物件は、買ったその時点で、収益アップの努力の幅を狭められていることを理解しましょう。
地方不利説が多く流れていますが、物件を購入する前にしっかりとシミュレーションして、満室運営していけば、首都圏以上に安定した不動産投資ができるんじゃないでしょうか。