こんにちは、マニです。
今回は賃貸経営における差別化戦略について考えてみたいと思います。
賃貸経営では空室対策としてライバル物件との差別化が重要だと言われますが、「差別化」とはいったいどのようなことを指しているんでしょうか。
「最新設備を導入する」、「間取りを変更する」などの方法論だけでなく、もっと根本的な差別化についても深堀して検討してみましょう。
賃貸経営における差別化は大きく次の3つに分かれます。
- 立地面
- ハード面
- ソフト面
それぞれには、どんな差別化があり、どのような効果が期待できるのか検討しいきましょう。
差別化戦略① 立地面
差別化の一つ目は「立地面」です。
賃貸経営で重要な視点の一つとして、人口が増えているところで勝負するということがあります。
ビジネスにおいて「需要」は非常に重要で、賃貸経営においては人口そのものが需要です。
日本は賃貸経営をするにはどこもジリ貧
残念ながら、今の日本で賃貸需要である人口が増えているのは東京や沖縄などのごく一部の地域のみです。
この理屈でいくと、私がアパートを所有しているような地方都市では、不動産投資に参入しないほうがよいということになりますが、必ずしもそうでとは限りません。
人口が減少している地方の中でも、人口が増えている場所は必ず存在します。
同じ地域でも人口が増えているエリアや、減っているエリアが存在します。
賃貸経営にはマクロの視点とミクロの視点が必要
マクロの視点で考えた場合、そもそも人口が減っている「日本」で勝負すること自体、賃貸経営をするのは無謀だと言えます。
しかし、日本の中でも「東京」は人口が増えているので、まだまだ賃貸経営では有利と見ることもできます。
いっぽう、同じ東京でも八王子市や多摩市など23区の周辺の市では地方と同じように人口が減っています。
人口が増えて、有利と思われている23区内でも、足立区や葛飾区は人口の減少がみられます。
このように賃貸需要の源泉である「人口」を考えた場合、マクロとミクロの視点で交互に物事を見ることでその地域が勝負すべき地域なのか、そうでない地域なのかの判断ができるようになります。
■参考記事:都心集中の真実
差別化戦略としての立地
差別化戦略としての立地は「東京」とか、「足立区」とかいうマクロの視点ではありません。
賃貸経営はどこまでいってもローカルな勝負で、結局のところ最終的に隣近所のアパートやマンションがライバルになります。
そのため、「東京だから安心」とか、「足立区だからジリ貧」ということでもありません。
それよりも「駅徒歩5分」とか、「コンビニ、スーパーに近い」などのもっとミクロなポイントで差別化されることになります。
勝負すべきところは、マクロで判断すべきですが、差別化のポイントはミクロに判断すべきということです。
差別化戦略② ハード面
賃貸経営の差別化で一般的な方法は方法はハード面の強化です。
人気の設備を導入することで、周辺のライバル物件と目に見えて差別化することができます。
一昔前までは「エアコン」「ウォシュレット」「TV付きインターホン」などが差別化の主流でした。
最近はでは「インターネット無料設備」「宅配ボックス」「浴室乾燥機」などが人気のようです。
ハード面の差別化の特徴は、人気の設備や間取りなど、お金を払い投資さえすれば、差別化かが可能だということです。
地方ではライバルがのんびりしている
わたしのような地方で勝負している身としては、ありがたいことですが、地方では比較的に周辺のライバルがのんびりしています。
東京や神奈川などの賃貸需要の旺盛な地域では、賃貸経営に積極的な大家さんも多く、ハード面の差別化戦略も当たり前のように行われています。
いっぽう、地方では昔ながらの地主大家さんも多く、都会ほど差別化戦略が積極的に行われていません。
そのため、ハード面の差別化は都会よりも効果的に効果が見込めます。
都会では当たり前になってきているインターネット無料設備ですら、まだまだ競争力を維持できるキラーコンテンツだったりします。
差別化戦略③ ソフト面
賃貸経営はサービス業です。
商品を企画して、入居者に売る(入居する)ことがゴールではありません。
入居した後も、サービスは続いています。
差別化戦略としてハード面を強化するだけでなく、今後はこのソフト面の強化も重要になってくるとも思っています。
賃貸経営におけるソフト面とは、
- 共用部や室内の定期清掃を行う
- アンケートなどで入居者の満足度や要望を聞き改善する
- コンシェルジュを配置して入居者の身の回りのお世話をする
などがあります。
もの消費から、こと消費の時代に
色々なところで語られていることですが、とても豊かになった日本では「もの消費からこと消費」に人々の欲求が変ってきています。
今や、商品で解決しない悩みはないと言ってもいいかもしれません。
調べ物はgoogleで、欲しいものはamazonで、いつどもどこでも手に入ります。
特別な商品では、差別化が難しくなっています。
これからは、特別な体験が人々の欲求を満たしてくれます。
賃貸経営にも時期にその大きな流れがやってくることでしょう。
ハード面の差別化では、満足しない入居者たちが次に求めるのはソフト面(サービス)の差別化です。
その物件、その部屋でしか体験できないサービスに人々が集まるような時代が直ぐそこまで来ていると思います。
差別化に効果的な方法とは
今回昇華した3つの差別化戦略で、最も効果的な方法はどれでしょうか。
賃貸経営では立地が最重要
それはずばり、「①立地」です。
マクロの視点で選択した同じエリアにある二つの物件のうち、「駅徒歩5分の物件」と「駅徒歩15分の物件」ではその二つの商品には圧倒的な差があります。
そこに立つ物件の商品力に少しの差がなくてもです。
賃貸経営で最も重要なことは、とにかく「立地」です。
ここさえ、強烈に差別化ができていれば、ほかが何にも取り柄がなくても満室経営すること十分に可能です。
しかし、立地の差別化を獲得するには、これまた格別なコストがかかります。
物件を買うときの立地の目利きは大事ですが、この差別化ポイントを重視しすぎると、収益性のある物件を買うことは不可能です。
都心駅徒歩5分のほとんど利益の出ない区分マンションを購入するのが関の山です。
残念ながら差別化戦略の最大のトリガーとなる「立地」を選択できるプレイヤーは、いはゆるお金持ちしかいないということです。
ハード面で勝負するのが一般的
先人にならえとはよく言ったもので、差別化戦略で「立地面」の次に効果的なのが「ハード面」です。
同じ立地であれば設備や間取りが充実した物件が、勝負を優位に運べます。
エアコンを設置して、ウォシュレットを設置して、TV付きインターホンを設置する。
これだけで、周囲のライバルと差別化できていた時代もありました。
しかし、ライバルたちが同じようにハードに力を入れるとまた横並びです。
今度は、インターネットを無料にして、宅配ボックスを設置し、浴室乾燥機を設置しないと差別化できません。
これもいつか、横並びになり差別化できなくなるでしょう。
ソフト面で物件のファンを増やす
これからの差別化戦略で私が注目しているのが、この「立地面」でも、「ハード面」でもなく「ソフト面」です。
ソフトとはサービスのことです。
サービスはその名の通り入居者のことを思い、満足度を上げる手法です。
管理会社に言われるがままに、金を使い設備を導入する(ハード面)だけでは、サービスは向上しません。
大家自ら考え、なにが入居者にとって満足度が高いかを考え、やり方を検討して実行する必要があります。
ソフト面の差別化は、前例があまりありません。
成功も失敗も、大家の力量と熱量次第です。
面倒なほうがコスパがいい
今後は、誰よりもめんどくさいことをした大家が勝てる時代になると思います。
ソフト面の差別化は成否の判断が難しくコストはかかるし、なによりめんどくさいの実践する大家はほとんどいないでしょう。
空室のときの対策は一生懸命になってやるけど、満室になるとあとは管理会社にぜんぶお任せという大家も多いと思います、
本当の意味の差別化は、「ほかの人が面倒でやらないことをやること」だと思います。
ターゲットを設定して、入居者がもっとも喜ぶ方法を検討して、提供する。
ただ単に、お金をかければいいというわけではありません。
かけるべきは「金」ではなく、「知恵」と「労力」です。
もの消費から、こと消費へシフトしています。
賃貸経営はこと消費の代表です。
5年後に右ならえになる単なるハード面の強化ではなく、大家自らアイデアを生み出し、ユニークなサービスを提供して唯一無二の存在になることが、これからの時代には重要だと思います。
関連記事:面倒なほうがコスパが良いってことをみんな知らない!
まとめ
今回は、賃貸経営の「差別化戦略」について考えてみました。
ここまで、紹介して論点がずれそうですが、はっきりさせたほういいことは賃貸経営で最も重要な差別化は「立地」だということです。
ハードでも、ソフトでもなく、一にも二にも「立地」です。
これから、不動産投資を始めようと思う人は、「新しくて設備が充実しているから」とか、「コンシェルジュがいてサービスが充実しているから」といった理由で、物件を選んではいけません。
なにがなくても、「立地」が満足する物件を選ぶべきです。
最低点でも、とにかく「立地」がクリアしている物件から始めるべきです。
「ハード」と「ソフト」は、購入後の大家の努力でなんとでも向上できます。
「立地 」だけはどれだけ金と知恵を積んでもどうしようもありません。
そのうえで、これからの時代は「もの」よりも「こと」が重要なのでスキルを磨いていきましょう。という、お話です。
この辺のバランスは、とてもとても難しいと思いますが、これからの厳しい賃貸経営では必要になってくるスキルだと思います。
ライバルがのんびりしているうちに、一気に差別化して、地域No.1のぶっちぎり経営しましょう。