不動産投資のデッドクロスをわかりやすく解説【長期の検討が必須】

こんにちは、マニです。

「デットクロスっていうのが、いまいちわからない。何度か説明を聞いたけど、すぐに忘れてしまう。結局どういうことなの??誰か、わかりやすく教えて。」

こんな悩みを解決します。

今回の内容
  • 不動産投資のデットクロスをわかりやすく解説
  • 私の物件でデットクロスを検証してみる
  • デットクロス対策を紹介

私は、地方で1棟アパートの大家をしています。
サラリーマンをしながら、自分で勉強して物件を購入しました。
デットクロスについても、細かくシミュレーションして、検討してきました。

目次

不動産投資のデットクロスをわかりやすく解説

デットクロスとは、不動産投資でしっかりと利益がでているのに、「なぜか?」手元に現金(キャッシュ)が残らないことをいいます。

この「なぜか?」が理解できないまま、不動産投資を続けていくと、現金が残らないばかりか、やがては現金を失い、破綻してしまうこともあります。

黒字なのに、現金が減る?

デットクロスが起こるのは、「減価償却費」と「ローン利子」の合計が「ローン元金」より少なくなるためです。

う~ん、まったく意味が分かりませんね。
順を追って、説明します。

「利益」と「キャッシュフロー」

デットクロスを理解するために、「利益」と、「キャッシュフロー」の違いを、理解する必要があります。

「利益」とは、その不動産投資から得られる、純粋な稼ぐ力のことです。

利益 = 収入 – 経費

いっぽう、「キャッシュフロー」とは、収入からすべての支出を引いた後に、手元に残る現金(キャッシュ)のことです。

キャッシュフロー = 収入 – 支出

同じことを言っていると思いますか??

経費には、『ローン利息、空室損、運営経費、減価償却、税金』などがあります。
支出には、『ローン元金、ローン利息、空室損、運営経費、税金』などあります。

つまり、

  • 「減価償却」は経費ではあるが、支出ではない
  • 「ローン元金」は、支出ではあるが、経費ではない。

減価償却は、現金は出ていきませんが、不動産の価値が低下することで、経費として計上できます。
ローン元金は、現金は出ていきますが、借りたお金を返しているだけなので、経費ではありません。

「利益」と「キャッシュフロー」の違いについて、もう少し詳しく解説

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私の物件でデットクロスを検証してみる

私の物件を使って、具体的にデットクロスを解説していきたいと思います。条件は、以下の通り。

  • 木造、築13年
  • 物件価格 3600万円 (物件1600万+土地2000万円)
  • 借入金額 3500万円、利息 2.0%、借入期間 20年
  • 家賃収入 408万円 (利回り11.3%)
  • 空室率 10%、経費率 20%、家賃下落 1%/年
  • 所得税+住民税 30%
  • 減価償却費 145万円×11年
  • 購入時諸経費、大規模修繕は考慮せず

今回は、デットクロスの検証のため、購入時諸経費と大規模修繕費用はゼロにしました。

減価償却について、詳しく知りたい方はこちら

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さっそく計算してみます

シミュレーションの結果がこちらです。

11年目までが、減価償却期間。
20年目までがローン支払い期間です。

この年をさかいに、「利益」と「キャッシュフロー」の金額が大きく変わっていることが分かりますね。

1年目の金額で、それぞれの計算式をみてみましょう。
「利益」と「キャッシュフロー」の計算式を、思い出してください。

税引き前利益
①408万円 – ③70万円 – ④122万円 – ⑤145万円
= 71万円

所得税+住民税
= 71万円(税引き前利益) × 0.3(税率)
= 21万円

税引き後利益
= ①408万円 – ③70万円 – ④122万円 – ⑤145万円 – ⑥21万円
= 49万円

キャッシュフロー
= ①408万円 – ②144万円 – ③70万円 – ④122万円 – ⑥21万円
= 50万円

それぞれの計算方法は、これで理解できますね。

私の物件では、1年目こそ「利益」と「キャッシュフロー」は同じ金額ですが、2年目以降は、大きく変わってきているのが分かります。

このシミュレーション結果から、こんなことが読み取れます。

  • ローンの返済が進むと、「ローン元金」が増え、「ローン利息」が減る
  • 減価償却期間が終わると、「減価償却費」がゼロになる

初めの説明を繰り返します。

デットクロスが起こるのは、「減価償却費」と「ローン利子」の合計が「ローン元金」より少なくなるためです。

役者がそろいましたね。
それぞれの金額を、年ごとに見ていくことで、デットクロスの仕組みを理解できます。
 

デットクロスの仕組みを分解して考えてみる

デットクロスが起こる仕組みは、細かく分解すると、次のようになります。

  1. ローン返済が進み、「ローン元金」が増え、「ローン利息」が減る
  2. 減価償却期間が終わり、「減価償却」がなくなる
  3. 「利息+減価償却費」が減る
  4. 「利息+減価償却費」が減ることで、「税引き前利益」が増える
  5. 「税引き前利益」が増えることで、「所得税+住民税」が増える
  6. 「所得税+住民税」が増えることで、「キャッシュフロー」が減る

ここで、計算式をおさらいします。

利益 = 収入 – 経費

キャッシュフロー = 収入 – 支出

「ローン元金」は支出です。
「ローン利息」「減価償却」は経費でした。

ちゃんとついて来れてますか?
なにが増えて、なにが減っているか、シミレーションの結果から把握できますか?

初めの説明を繰り返します。

デットクロスとは、不動産投資でしっかりと『利益』がでているのに、「なぜか?」、手元に『現金(キャッシュ)』が残らない状態のことをいいます。

「経費」が減り、「支出」が増えると、デットクロスが発生するということです。
デットクロスの仕組み、理解いただけたでしょうか。

デットクロスに備えるためには、『いつ』『「減価償却費」+「ローン利息」が「ローン元金」より少なくなるか』を把握して、その後のキャッシュフローはどうなるかを、把握する必要がありますね。

デットクロス対策を紹介

シミュレーション結果を見ながら、デットクロスがおきる仕組みを、もう一度考えてみましょう。

デットクロスは、「減価償却費」+「ローン利息」が「ローン元金」より少なくなると起きるということでしたね。
結果、キャッシュフローがマイナスになります。

このシミュレーション結果から、何が分かりますか?

  • 減価償却期間が終わる

→「減価償却費」が減る

  • ローンが進めば、ローン元金が増える

→「ローン利息」が減る

  • 家賃が下がる

→現金収入が減る

  • ローン支払い期間中は、「ローン元金」+「ローン利息」の金額は変わらない

→ローン返済が固定費となって、キャッシュフローを圧迫する

デットクロスがキャッシュフローを悪化させる要因が、見えてきませんか。

ポイントは、大きく3つです。

  1. 税金が増える
  2. ローンの支払金額が変わらない
  3. 家賃収入が減る

デットクロスの要因ごとに対策を紹介

キャッシュフローが悪化する要因がわかったところで、それぞれの対策を紹介します。

  1. 税金が増える
    • 減価償却物件を増やす
    • 税金対策をする
  2. ローンの支払い金額が変わらない
    • 借入金額を減らす
    • 繰り上げ返済をする
    • 借入期間を延ばす
  3. 家賃収入が減る
    • 家賃維持の対策を行う
    • 物件を売却する、乗り換える
    • 現金を用意しておく
    • シミュレーションを長期で検討する

減価償却物件を増やす

新たに物件を購入することで、減価償却費を増やすことができます。
ただし、この手法は一度始めたら、やめられません。
デットクロス対策のために、永遠に物件を買い続けなくてはなりません。
不動産投資家が、次から次に物件を購入する理由のひとつが、これです。

税金対策をする

「税引き前利益」を減らすための対策は、いくつも存在します。
税金のことを勉強し、節税に励めば、キャッシュフローの悪化を防げます。

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借入金額を減らす

ローン返済の固定費を減らす方法も、いくつか存在します。
そのひとつが、借入金額を減らす方法です。
物件購入時に、『頭金』を多く用意することで、借入金額を減らし、ローン支払い額を下げることができます。

繰り上げ返済をする

繰り上げ返済には、「借入期間を短くする方法」と、期間はそのままで「ローン支払い額を減らす方法」の2通りがあります。
デットクロス対策としては、「ローン支払い額を減らす方法」をとったほうがいいでしょう。

これは、ひとつ前の「借入金額を減らす」方法と、結果的には同じです。
借入時に用意する『頭金』を、借入期間中に『繰り上げ返済』という形で用意したのと同じです。

借入期間を延ばす

返済が順調に進んでいれば、借入期間を延ばす相談もできるでしょう。
ほかの銀行に借り換えをすることでも、借入期間を延ばすことが可能です。
借入期間を延ばせば、毎年のローン支払い額を減らすことができます。

家賃維持の対策を行う

物件が古くなると、どうしても家賃は下がってしまいます。
管理をしっかり行い、家賃維持の努力をすることが効果的です。
新しい設備を追加するなどのハード面と、入居者サービスや、清掃などソフト面の強化など、大家の努力次第で家賃の維持は十分に可能です。

物件を売却する、乗り換える

デットクロスは、「減価償却」が切れることが、大きな要因でした。
そこで、減価償却期間が終わるタイミングで、物件を売却するのもひとつの方法です。

これまでのインカムゲインを頭金にして、別の物件を購入すれば、新しく減価償却を作ることができます。
ただし、物件の売却・購入時に諸経費や仲介手数料が、余計にかかってしまうので、どちらが収支にあうか、十分な検討が必要です。

現金を用意しておく

『いつ』『キャッシュフローが悪化する』のか、しっかり検討して、事前に現金を用意することも、対策のひとつです。
不動産投資は現金が不足しない限り、ゲームオーバーにはなりません。
突然のデットクロスで、現金不足に陥らないために、計画的に現金を貯めておきましょう。

シミュレーションを長期で検討する

シミュレーションをする際に、初年度のみしかしない人がほとんどでしょう。
デットクロス対策には、長期のシミュレーションは必須です。

私のシミュレーション結果を見てもわかるように、キャッシュフローが悪化しても、ローン支払い期間さえ終わってしまえば、キャッシュフローは一気に回復します。

最低でもローン支払い期間中のシミュレーションを必ず行いましょう。
ローン支払い期間中に、現金が不足しないかを見極めることが大切です。

対策をとることも大切ですが

ここまで、いくつかの対策をお伝えしました。
最後に、ひとつだけ覚えておいてほしいことがあります。

デットクロス対策をしても、長期的には利益も、キャッシュフローもさして変わらない

対策をすることで、その年の利益、キャッシュフローは改善されます。
デットクロスの要因の1つ目と2つ目の『税金対策』や『ローン対策』は、ほかの年の利益、キャッシュフローを前借していることがほとんどです。

長期的な、「利益」と「キャッシュフロー」をどの年に振り分けるか、えんぴつなめなめしているだけです。

不動産投資は、現金がなくなるとゲームオーバーします。
投資初期は、資金が少なかったり、知識や経験が足りなかったりして、現金がなくなるリスクを多くかかえています。

ここで紹介した対策で、リスクの高い投資初期を乗り切ることは大切ですが、目の前の利益ばかりをみていると、あとで痛い目にあいます。

大切なことは、『いつ』『どれぐらいの現金』が必要かをしっかりと把握して、必要な年に使えるように、戦略をもって対策して調整することです。

そして、最も重要なことは、デットクロスの要因の3つ目『家賃収入が減る』の対策を、大家自らの努力で排除していくことです。

おまけ

ここで、今回のシミュレーションで検討していないことがひとつ。

所得税+住民税の税率の、変更を加味していない

今回のシミレーションでは税率を一律30%としました。

所得が増えると、税率は上がります。
今回は1棟のみ検討でしたが、これが2棟、3棟となると所得が増え、やがて税率が33%、43%と増えていきます。

税率が増えると、当然、税金が増え、キャッシュフローを悪化させます。
物件が増えることで、所得が増えるならまだましです。

減価償却期間が終わり、「税引き前利益」が激増した理由だけで税率が上がると『デットクロス+税率アップ』のダブルパンチを食らいます。
家賃収入はまったく変わらないのに、税金だけがアップしてしまうんです。

不動産投資のシミュレーションをする時は、物件の稼ぐ力を見極めることも大事ですが、その奥の税金についても、しっかりと理解することが大切です。

「利益」と「キャッシュフロー」の違い

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