不動産投資の税金対策10選【節税はどこまでやるのが最適か??】

こんにちは、マニです。

「不動産投資が黒字でうれしいけど、税金が増えるのが嫌だな、、、減価償却がきれたら、いっきに税金も増えそうで怖い。みんなどんな対策してるんだろう。税金にも詳しくないし、だれか教えてください。」

こんな悩みを解決します。

今回の内容

  • 不動産投資の税金対策10選
  • 私の節税対策へのアプローチを紹介

私は、現在サラリーマンをしながら、アパートを1棟所有しています。
大家になると、次に気になるのはやっぱり「税金」。
今回は、色々と調べて、整理した知識を紹介していきます。

目次

不動産投資の税金対策10選

今回、紹介する対策は次のとおり。

  1. 不動産所有名義の分散
  2. 青色申告特別控除
  3. 青色事業専従者給与
  4. 配偶者の社会保険料を支払う
  5. 小規模企業共済
  6. 経営セーフティー共済
  7. 不動産支出の経費計上
  8. iDeco
  9. 法人化
  10. おまけ:ふるさと納税

節税対策のポイントは、できるだけ「課税所得」を少なくすることです。
税金は「課税所得」に、一定の税率をかけて計算します。

収入 – 経費 = 税引き前利益
税引き前利益 – 控除 = 課税所得

「経費」は、不動産投資をするうえで、必要な支出です。
いっぽう、「控除」とは、支出を伴わなずに、「課税所得」を下げられる方法です。
課税所得を減らすために「経費」ではなく、この「控除」をいかに増やしていくかが、重要になってきます。

では、ひとつずつ、順番に解説していきます。

1. 不動産所得の分散

税金には、「所得税」と「住民税」の2つがあります。
「住民税」は、だれでも一律10%。
「所得税」は、収入が多いほど、税率が高くなります。
課税所得が100万円の不動産を所有している場合、

  • 年収200万円の人
    100万円×所得税5%+住民税10%=15万円
  • 年収1000万円の人
    100万円×所得税20%+住民税10%=30万円

まったく同じ不動産を所有しても、その人の年収で、税金が大きく異なります。
「そうはいっても、税金を安くすために、本業の稼ぎを少なくするわけにはいかないよ」
その通り。本業の稼ぎを少なくすることはできません。

そのためにできることが、「不動産所得の分散」です。

具体的には、専業主婦の配偶者や、年金生活の親に、不動産の名義をわけます。

そうすれば本人の所得を増やさずに、家計全体の所得を増やすことが可能です。
あなたが大家として、やることは何も変わらない。
ただ、名義を分けるだけです。

分散した人の収入がゼロなら、所得税は最低税率でOK。

ただし、銀行から融資を受ける場合、不動産投資の実績がないため、配偶者名義で、融資を受けられない場合があります。
あくまで、本業収入のある本人に、融資しますというわけ。

実際、私も一棟目の融資では、「配偶者名義は、2棟目以降でお願いします」と断られてしまいました。

2. 青色申告特別控除

不動産投資を本格的に始めようという人は、後ほど紹介する法人化か、個人事業主の届出のどちらかを、必ず選択してください。

以下は、個人事業主の場合として、解説します。

まずは、青色申告する

確定申告を青色申告ですると、「青色申告特別控除」を受けれます。
青色申告には、複式簿記で帳簿をつける必要があります。

複式簿記と聞くと、自分では無理と思う人もいるでしょう。
しかし、会計ソフト使うと、誰でも簡単にできます。

クラウド版がオススメで、費用も年間1万円ぐらいで利用できます。
「簡単なのはわかるけど、お金がかかるのはやだな…」と思うかもしれませんが、費用以上のの節税効果があるので、迷う必要はありません。

青色申告 + 会計ソフトは、必ず導入しましょう。

特別控除の金額は、

  • 「10万円控除」
  • 「65万円控除」

の2種類があります。

「65万円控除」を受けるには

「65万円控除」を選択する条件として、不動産投資の場合、「事業的規模」である必要があります。
「事業的規模」とはアパート、マンションでは10室以上、戸建では5棟以上のことをいいます。

そうでない場合は、「10万円控除」しか選択できません。
私の場合、1棟8室のみなので、「事業的規模」にはあたりません。

「10万円控除」×所得税20%+住民税10%=3万円

それでも、税金が安くなりますね。
やったことは、青色申告 + 会計ソフトを導入しただけです。

もっと言うと、会計ソフトの費用は、「経費」になるので、

1万円×所得税20%+住民税10%=3000円

は、税金が安くなって、お金が戻ってきます。

「10万円控除」でもこの節税効果です。
会計ソフト費用なんて、すぐに回収できるというのがわかりましたか。

あなたの所得税率がいくらかは、こちらの外部サイトで、確認することもできます。
わからない方は、ご覧ください。

3. 青色事業専従者給与

青色申告のメリットのひとつとして、「青色事業専従者給与」というものがあります。

生計を同じにする15歳以上の人に対して、給料を支払うことができる制度

のことです。
例えば、週に1回アパートの掃除をする(…というていで)、月に5万円の給与を配偶者に支払えば、

5万円×12カ月=年間60万円

の、控除をうけることができます。
配偶者が専業主婦で収入がゼロの場合は、払われた給与の税率も低いので、節税効果が高くなります。

これには、「その事業にもっぱら従事すること」という条件があるので、大学生や、週に5日パートに出ている場合などは、条件から外れてしまうので、注意が必要です。
1棟目で「不動産所得の分散」を選択できなかったときも、この方法なら「所得」自体の分散が可能です

ただし、青色事業専従者給与を支払いする場合、配偶者控除や扶養控除が使えなくなるので、こちらも注意が必要です。

4. 配偶者の社会保険料を支払う

配偶者と所得を分散した場合、所得額が大きくなると、サラリーマン本人の扶養からはずれ、社会保険を配偶者個人で、加入しなければならなくなります。
社会保険とは、国民年金と健康保険のこと。

保険料の支払いが新たに発生してしまいますが、掛け金はすべて所得から控除できます。
所得の少ない配偶者の所得から控除すると、節税効果は小さいです。

所得の多いサラリーマン本人が配偶者のかわりに払い、その金額を所得から控除することで、節税効果を高くすることができます。

サラリーマン本人が払うと言っても、同じ家計から出ていくお金なので、だれが払っても、結果は同じです。

申請する人が違うだけで、税金を安くすることできます。
知ってるか、知らないかで払う税金が変わる、いい例です。

国民年金のほかに、国民年金基金というものもあります。
国民年金と違い、加入は任意ですが、これも全額、所得控除ができます。

国民年金は個人で払うと支出が増えますが、その分、将来返ってくる年金額も増えるので、節税対策をしながら、しっかりと払ってしまいましょう。

5. 小規模企業共済

個人事業主や、中小企業経営者の退職金制度のことです。
掛け金は、すべて所得控除できます。

デメリットは20年以内に解約すると、元本割れするということ。
また、あくまで退職金の出ない、個人事業主、経営者を対象にした制度のため、副業大家さんは加入できません。
小規模企業共済について詳しく知りたい方は、こちらの外部サイトが分かりやすいです。

6. 経営セーフティー共済

取引先が倒産したときに、自分の事業を守るための制度です。
小規模共済と同様、掛け金を、すべて控除できます。

取引先の倒産が条件なので、いつでも利用できるわけではありませんが、掛け金の10倍まで無担保、無保証人で借入することができます。
小規模企業共済と違い、40カ月以上納めていれば、掛け金が100%戻ってくるのも特徴です。

戻ってきた掛け金はすべて課税対象になるので、払い戻しする時に今まで控除した分の税金を払わなければなりません。要は、「税金の先送り」。

大規模修繕など、支出が増え、赤字になるような年に、払い戻しすることで、収支を相殺して、税金を払わなくてすむ方法もあります。

現金に余裕がある時に積み立てて、現金が必要な時に解約するなど、賢く使って税金対策しましょう。

小規模企業共済と同様、副業大家は利用できません。

7. 支出の経費計上

不動産投資での支出は、「経費」として計上することになります。
よく、「この出費は経費にできるの?」といった疑問を耳にしますが、基本的には

「事業に使用した支出は、すべて経費にできる」

が正解です。

不動産投資の場合、書籍代、現地調査時の交通費、不動産業者への接待費など、すべて「経費」です。
車や家の家賃も、しっかりとルールを守っていれば、「経費」にすることができます。

当然、個人の支出(飲食代、家賃など)は経費にできません。
高い倫理観で、根拠をもって経費計上していれば、税務署から指摘をうけても、重い罰則を受けることはありません。

「見解の相違」ということで、修正申告するぐらいです。
この辺は、こちらの本が詳しく解説しています。

令和改訂版 フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。
しっかり勉強しましょう。

8. iDeco

国民年金、国民年金基金、小規模企業共済と同様に全額損金にできます。
それぞの特徴を、比較してみました。
違いを理解して、賢く使いましょう。

9. 法人化

個人事業主で、ある程度所得が増えたら、法人化を検討してもいいと思います。
本業との合計で、年収が1500万円を超えるころに検討すればよいと思います。

法人化すると、個人事業主で得られたメリット以外に、さらなるメリットを受けられます。
今回の記事では、解説は省略しますが、法人化も税金対策の一つです。

10. おまけ:ふるさと納税

おまけとして、ふるさと納税を利用するというのもあります。
節税効果は低いですが、全国のおいしいものを不動産から得た所得で取り寄せましょう。
我が家では、米と果物をお取り寄せ(?)しています。

私の節税対策へのアプローチを紹介

ここまで紹介してきた方法の中から、私が実際に行おうとしているものを、より具体的に紹介していきます。

まずは、前提となる、私の条件を整理しておきます。

  • 本業サラリーマン
  • 所得税20%+住民税10%=30%
  • 家族(嫁+子1人)、嫁は専業主婦で所得0円
  • アパート1棟所有

これから不動産投資を始めようとしている人は、同じような条件の人が多いんじゃないでしょうか。
このアパート1棟で、収支のシミュレーションをしてみます。

「税引き前利益」から今まで紹介した対策を実施して、控除したあとのものが「課税所得」になります。
減価償却期間が終わる12年目からは「税引き前利益」がいっきに増え、所得税+住民税の額が、飛躍的に増えているのがわかります。

また、ローン支払期間の後半はローン利息が減り、さらに「税引き前利益」が増えているのがわかります。
減価償却期間や、ローン支払期間の影響で、後半に行けば行くほど、「税引き前利益」が増え、税金が重くのしかかってくるのが、よくわかる結果になりました。

「税引き前利益」からしっかり控除をおこない、「課税所得」をいかに抑えるかが、キャッシュフローを大きくするポイントだとわかりますね。

では、今まで紹介した方法で、「課税所得」を抑えることができるのでしょうか。

キャッシュフロー、減価償却については、不動産投資のキャッシュフローの計算方法【注意点もまとめました】不動産投資の減価償却をくわしく解説【上手に付き合いましょう】もあわせてご覧ください。

不動産の所有名義を分ける

ひとつめの対策は、「不動産の所有名義を分ける」です。
1棟目の物件は、私の名義で購入しました。
税率を抑えるために、嫁名義にしたかったのですが、融資の実績がないので仕方ありません。

2棟目からは名義をわけることで、税率を抑える予定です。
これで、2棟目のキャッシュフローは、1棟目に比べて大きく改善すると思います。

青色申告特別控除の「65万円控除」を利用する

1棟目は、8室しかないため、事業的規模とは認められませんでした。
仮に1棟8室のアパートを2棟目に購入して、私名義で所有すれば16室となり、「65万円控除」を受けることはできます。
しかし、そのぶん所得も増えてしまうので、税金対策としてはちょっと微妙。

そこで、次にとる手段は、「共有名義で物件を買う」です。

共有名義とは、1つの物件を、複数の所有者で共有することを言います。

例えば、2棟目を嫁95%、私5%の割合で、共有名義で購入したとします。
すると、得られる所得の5%を、私の所得に合算することになります。

1棟目と同じ条件の物件だったとしたら、

70万円(税引き前利益)×5%=3.5万円
※さっきの表の1年目から

が、私の利益の持ち分です。
ここでポイントとして、1棟8室のアパートを共有名義とした場合、

8室 × 5% = 0.4室

が、私の持ち分になるわけではない、ということです。
「事業的規模」かどうかに算出する室数は、8室すべてを加えることができます。
よって、

1棟目-8室(本人名義) + 2棟目-8室(共有名義) = 16室

となり、10室以上の条件をクリアして3.5万円の利益が増えただけなのに、「65万円の控除」をうけることができます。

「65万円の控除」を受けると、

65万円(新たな控除額) – 10万円(もとの控除額) – 3.5万円(増えた利益) × 税率30% = 15.5万円

の、節税が可能です。

極端な話、1棟10室の物件を、10人で共有名義で購入しても、10人全員「65万円控除」を受けることは可能です。
2棟目を購入するというのは変わりませんが、名義を分散するだけで、税金を安くできす。
これも、知ってるか、知らないかだけで、税金の金額がかわる一つの例ですね。

共有名義のデメリットは、共有したもの同士が、トラブると、かなりもめるということです。下手に離婚なんかできませんね。
不動産投資には、夫婦円満が大切かもです。

配偶者の社会保険料を支払う

配偶者名義で2棟目を購入して、配偶者本人の所得が多くなった場合、社会保険料をサラリーマンの私が申請して、節税を狙います。
国民年金、健康保険料を支払うだけで、一棟目の所得をぐっと抑えることもできるでしょう。

その他の制度も利用する

3棟目、4棟目を購入して、さらに配偶者の所得が増えたら、小規模企業共済や、経営セーフティーネット制度の利用も検討しています。
そのほか、iDeco、国民年金基金も最大限利用する予定です。

さらに所得が増えたら法人化する

さらに物件を購入して、所得が増えたら法人化も予定しています。
この辺はまだ、メリット、デメリットを整理しきれていないので、場合によっては、すぐに法人化するかもです。
その場合も、「法人から配偶者に給料を支払う」という方法を取ることで、節税効果を期待できます。

経費もバンバン計上する

車の購入や家賃も、適正に経費に計上する予定です。
例えば、週に2回掃除や業者廻りで車を使った(と、いうていの)場合、

2日/7日×200万円(車両代)=60万円

は、経費として計上できます。
地方では車は、必需品です。家賃も絶対必要です。

必ず支払う支出は、ルールを守って、しっかりとバンバン経費に計上することで節税を行います。

けど、すぐには使えない??
ここまでで、勘のいい人は気づいたかもしれませんが、実は、どの施策も「2棟目以降に進まない」と、有効な手がとれないんです。
一棟目の購入時に、

  • 嫁名義(税率の低い人)で購入する
  • 1棟10室以上の物件を購入して、「65万円控除」を受ける

を選択できないと、正直、有効な税金対策をとれません。
私の場合も、失敗とまではいいませんが、税金対策としては、1棟目はあまりうまくいってないということですね。

しかし、税率が跳ね上がるのは減価償却期間が終わる「12年目」以降です。
それまでに、しっかりと対策を考えて、実施していけば十分、対応できるでしょう。

税金対策は、どこまでするのが正解か

ここまで、いろいろな税金対策を紹介してきましたが、すべて実施するのが正解なんでしょうか。
「そりゃ、税金は安いに越したことはない。とれる手段はすべて取るのが正解でしょう」
と、思われるかもしれませんね。

では、最後に、ちょっと検証してみましょう。

税金対策をとるか、それとも投資か
年金制度を使った税金対策は、結果がでるまで時間が掛かりすぎるので、40か月以上は元金が100%返ってくる経営セーフティー共済を使って、税金対策をした場合で考えてみましょう。

  • 掛け金 月5万円 × 12カ月 = 60万円
  • 所得税+住民税 30%

この場合、毎年、

60万円 × 30% = 18万円

の節税ができます。
かなり、有効ですね。
払い戻しも、支出が多く赤字の年にすれば、税金を払わずにすみます。

一方、同じ金額を税金対策ではなく、投資に回した場合はどうでしょうか。

  • 投資額 月5万円 × 12カ月 = 60万円
  • 利回り 10%

使うお金は、同じ60万円です。
利回り10%は高すぎると思うかもしれませんが、不動産投資を融資を利用して行えば、簡単に実現できる数値です。

表面利回り10% → 実質利回り5% → 頭金10%とすると、

投資額利回り = 5%(実質利回り) ÷ 10%(融資率) = 50%

利回り10%の投資が、不可能ではないことがわかりますね。
(それほど、不動産投資は、優秀だということです)

比較した結果は、次の通り。

どちらも、10年間で600万円を使ってます。

はじめの数年は、節税対策のほうが、実質のキャッシュ(現金)は残ります。
しかし、10年スパンで考えた場合、投資に回したほうが、実質のキャッシュは多く残る結果になりました。

これが、20年、30年となると、さらにその差は開くでしょう。

税金対策は単利、投資は複利

ということが、理解できますね。

目先の税金対策に費用をつぎ込み過ぎて、長期的な投資目線を失えば、大事な利益を取り損ねることになります。

税金対策で戻ってきたお金を、複利に使うという手もありますが、掛け金の60万円は複利にまわすことができないので、やはり投資効果は薄いです。

複利運用については、【20歳の君へ】不動産投資は、若いうちに始めるべき話でも解説しています。

本日の気づき

税金対策がよいのか、投資がよいのかは、シミュレーションをしてみないとわからない

「所有名義の分散」、「青色申告特別控除」、「配偶者の社会保険の支払い」などはある意味で、支出を伴わない控除です。
この辺を最大限に生かして、残りをどの費用にまわすかは、投資家の腕の見せ所ですね。

「不動産投資初期は、あまり税金対策せずに、税金をたくさん払いましょう」という先輩大家さんも多いです。
これは、黒字経営で銀行の印象をアップさせるというのが一番の理由みたいですけど。

税金対策か、投資か…
わたしはまだまだ決めかねています。
日々勉強というとこですかね。

本で書いてあることがすべて、自分にあてはまるとは限りません。
なにかをするときは、実際の数字を使ってシミュレーションしてみてください。

今回のように、だれも語らない結果を見つけることができるかもしれません。
けど、税金対策は大切です。しっかり勉強してキャッシュフローを最大化していきましょう。

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